阿部さんこだわりの初期育成とは、蕾のうちに花を摘み取っていく、摘蕾(てきらい)をすることです。桃はりんごのように、ツルがないので枝の下に実がなるように枝の上目にあるものは落としていくそうです。花が咲く段階は葉っぱがほとんどなく、去年の木の中にある根っこの蓄積養分で花を咲かせます。
根っこの養分には限りがあるので、多くの花を咲かせるとその分、それぞれの花に行き届く栄養も分散されます。いくつの花を咲かせるかで栄養の使い方が変わるので初期育成として摘蕾を行っているそうです。こちらをすることで桃の大きさも変わってくるといいます。
「木は生物なので人間と同じように個性があり、全部同じようにいきません。木の個性を見ながら、お疲れの状態であれば多めに摘果して負荷をかけないように、成長過程であれば少し負荷をかけるように作業をしています。」と阿部さん。木は大きく広がるように育てられ、日光をまんべんなく葉に当てることで、栄養を蓄えています。
甘さだけを追求するのではなく、酸味とのバランスの良さで桃本来の味を感じることが出来るそうです。酸味が少ない=味が薄いとなることのないように、バランスを大切にされています。木の下にある白いシートは紫外線を乱反射して桃がきれいに色づくため。雨や太陽によるひび割れが起こらないように1つひとつ袋かけをしたり、実と枝が接触する部分には枝に小さなパッドを貼って、少しでもキズがつかないようにと大切に育てられています。
本当に安心・安全なおいしい果物をお届けするために「ASIAGAP」(アジアGAP)取得のチャレンジを行いました。農産物生産加工工程の中で食品安全・環境保全・労働環境に関係した130以上の項目をクリアし、認証機関による審査を経て日本GAP協会がアジア共通のGAPとして位置づけている「ASIAGAP」の認証を取得しています。
一年に一度の収穫。結果が収穫の時期に出ることが楽しみでもあり、近年では天候によって変わるところが悩ましいご様子。「大変なのはどの仕事も一緒ですが、その中で、もがきながらチャレンジを重ねて、お客様の声を大切にすることを一番にしています。」と桃づくりに励んでいらっしゃいます。