標高150m前後の山の中腹にある、みかん畑。水平線に沈む夕日をたっぷりと浴び、海面から反射する光がもうひとつの太陽となって、みかんをさらに甘くジューシーに育てます。急傾斜地が多く量はたくさん栽培できませんが、少量ずつを丁寧に目の行き届く範囲で愛情を持って管理しています。
「誰もが故郷ってあると思うんです。それが僕にとってはこの土地であって、農によって保たれてきた風景を守っていきたいんです」と川口さんは話します。
そんな川口さんが手掛ける作物は、魚粕と米ぬかを乳酸菌・酵母で発酵させた肥料を与え、農薬をできるだけ節減するなど安心安全にも配慮したもの。収穫前には水分をできるだけ与えず適度なストレスをかけることで、果実が甘さを蓄えるなど、おいしさへの追求も忘れていません。
また、長崎の無印良品をはじめ、積極的に首都圏などでのマルシェや催事へも出店。お客さんへ直接、販売し食べてもらうことで、農へのモチベーションを高めているといいます。
「やっぱりおいしいと言ってもらえるとうれしいですね。逆にご批判をいただくこともあり、その時は“どうしたらおいしくなるか?”を追求していきます」
地元を愛し、独自の戦略で次々と川口農園のファンを増やしている川口さん。息子さんも畑を手伝い、子どもの目線で農業について語るブログを開設したり、未来の4代目として活躍しています。川口さんとご両親、そして時々息子さんも加わる、仲良しな川口ファミリーが育てるみかんをぜひご賞味ください。