樟脳づくりは、クスノキの木材を特殊な円盤カッターで細かく砕き、それを大きな蒸し器で蒸します。その際発生する蒸気を冷却槽で冷やして、樟脳成分を取り出します。
原料は九州一円から集められたクスノキと水のみ。木片を蒸すための燃料は、樟脳成分を取り出した後の木片を乾かしたもの。原料から燃料へと循環していて、一切の無駄がありません。
「クスリの木」が語源ともいわれているクスノキ。ハッカのようなスーッとする特有のニオイを有しており、防虫の木として家具や仏像にも使われてきました。また、防臭効果もあり、幅広い用途でご使用いただけます。
衣類にニオイが残ってしまいがちな虫よけや芳香剤ですが、天然樟脳の香りは風に当てるとさっと消え、衣類に残らないと評判です。
全製造工程に最低でも10日を要し、約5トンの木片からできる樟脳は、オイルを合わせてもはわずか30~40kg程度。「使っていただいている人の声に突き動かされて続けています」と樟脳師の内野さんは話します。