日本の繁栄を支えた、樟脳

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諸国良品

2015/01/30

暖かい地域にしか生息しないクスノキは、世界的に見ても珍しく、日本では西南部一帯にしかありません。そのため、クスノキから作られる樟脳は江戸時代、金・銀に次ぐ輸出品でした。医薬品やセルロイド、フィルムの原料としても使われていましたが、合成樟脳が生産されるようになると天然樟脳の生産者は減少。しかし、ここ最近、身体や環境に優しい自然素材のものが見直されているなか、天然樟脳も再び注目を浴びてきています。

樟脳づくりは、クスノキの木材を特殊な円盤カッターで細かく砕き、それを大きな蒸し器で蒸します。その際発生する蒸気を冷却槽で冷やして、樟脳成分を取り出します。

原料は九州一円から集められたクスノキと水のみ。木片を蒸すための燃料は、樟脳成分を取り出した後の木片を乾かしたもの。原料から燃料へと循環していて、一切の無駄がありません。

「クスリの木」が語源ともいわれているクスノキ。ハッカのようなスーッとする特有のニオイを有しており、防虫の木として家具や仏像にも使われてきました。また、防臭効果もあり、幅広い用途でご使用いただけます。

衣類にニオイが残ってしまいがちな虫よけや芳香剤ですが、天然樟脳の香りは風に当てるとさっと消え、衣類に残らないと評判です。

全製造工程に最低でも10日を要し、約5トンの木片からできる樟脳は、オイルを合わせてもはわずか30~40kg程度。「使っていただいている人の声に突き動かされて続けています」と樟脳師の内野さんは話します。

生産者紹介

  • 供給者画像:生産者名 内野樟脳

    生産者名 内野樟脳 詳細

    江戸創業で、現在日本に残る最古の樟脳工場。現在、国内における樟脳の生産者は4軒ですが、一時は内野樟脳だけの時代もありました。ここ数年自然素材が見直されてきたなかで、樟脳づくりを希望した生産者にその技術を教えたりと、天然樟脳の伝道師として活躍しています。5代目樟脳師の内野和代さんは、「樟脳づくりにはマニュアルがない。ポイントは五感を使って“音をよみとること”」と話します。

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