佐賀県南西部に広がる白石平野。もともと海だったというこの土地は、弥生時代から自然陸化し、現代まで幾多の干拓事業で造成されていきました。ミネラルを豊富に含んだ粘質土壌は農業好適地で、アスパラガスやれんこん、たまねぎといった特産品を育んでいます。
そんな土地で、アスパラ栽培一筋に精を出すのが橋本裕文さんです。キトサンやカニ殻など、独自に配合した有機肥料を与えるなど、とにかく美味しいアスパラの生産に余念がありません。最近では試行錯誤の末、農薬使用も必要最低限にまで抑えた特別栽培に切り替えることに成功しました。
そんな橋本さん家のアスパラ、「そのまま食べてごらん」と採れたてをかじらせてもらうと、甘くてシャキシャキ!筋張っていることもなく、根元まで美味しんです。太さだけを追求することなく、味や柔らかさ求めていった結果だと、橋本さんは話します。
グリーンアスパラは昔、薬として利用されていたほど栄養価が高く、ビタミン類などはもちろんのことアスパラギン酸というアミノ酸を多く含んでいます。このアスパラギン酸は、ミネラルを効率よく体内に循環させる作用から、疲労回復や免疫力アップに効果的と言われています。また、ポリフェノールの一種であるルチン、紫アスパラにはアントシアニンといった抗酸化成分も含まれており、健康維持には欠かせない野菜なんです。
グリーンアスパラと同じ畝で紫アスパラも栽培に挑戦しているのも、橋本さんのユニークなところ。来年は遮光して育てるホワイトアスパラの栽培にも挑戦されるそうです。研究熱心な「橋本さん家のアスパラ」は評判を呼び、今ではJR九州の旅客列車でも採用されています。是非、一度ご賞味ください。