温州みかんは数百年前に日本(鹿児島)で生まれたといわれています。栽培の歴史が長いため、みかんの中でも品種がたくさんあり、早生系から晩生系まで様々なみかんが作られています。
栽培史だけでなく、皮をむいてそのまま食べられる手軽さと甘みと酸味の調和がとれた風味の良さから、私たち日本人にとっては一番なじみの深い柑橘です。
この地で本格的にみかんの栽培が始まったのは戦後のこと。1950年代から徐々に増えてきました。日本が高度経済成長を迎え、都会への食糧供給地としての農村の役割が高まるなか、柑橘産地にとっては自給自作的生活から経済栽培へと転換した象徴的な作物です。温州みかんは常に柑橘栽培の主役であり、早生系の「宮川早生」と中生系の「南柑20号」を中心に栽培しています。
旬は11~12月。宮川早生などの早生品種から熟れ始め、12月には南柑20号などの品種が中心となります。
出始めはフレッシュな香りと爽やかさを感じますが、秋が深まるにつれてより落ち着いた風味に変わっていきます。
生産の中心地である愛媛県西予市明浜町は、明浜のみかんは三つの太陽に恵まれているといわれています。太陽の光に、海からの照り返し、そして段々畑の白い石垣からの反射。万遍なく光が当たり、味の濃いみかんが育ちます。
無茶々園でも温州みかんは常に柑橘栽培の中心です。明浜のような傾斜地や段々畑での栽培に適しており、まさに適地適作の作物です。
ただ、近年の温暖化の影響で温州みかんは作りにくくなってきたようです。特に病気や害虫が発生しやすくなり、柑橘の中では無農薬化が難しい品種になってきました。しかし、年末に熟期を迎える品種は温州みかんを置いて他になく、生産者も消費者もこれほど愛着のある柑橘はないでしょう。