1,000mを優に超える山々に囲まれ、面積の大半を森林が占める一方、穏やかな気候に恵まれる中山間地域では古くから様々な農産物が栽培されています。大台ヶ原で生まれる清らかな水、豊かな土壌、朝夕の寒暖差によって、美味しい野菜や果物が育ちます。
日当たりの良い、山の頂上から中腹にかけて広がる柿畑に対して、山すそから谷あいにかけて広がるのが梅畑。現在、とくに力を入れて栽培している梅は、奥大和の在来種である「林州(りんしゅう)」と呼ばれる小ぶりの梅です。
林州は、後醍醐天皇が南朝を開くより前から奥大和で栽培されていたと伝えられていますが、近年では「南高梅(なんこううめ)」などへの植え替えが進み、生産量が減少の一途をたどっています。
手間のかかる林州の栽培・収穫にこだわるのには理由があります。奥大和の先人たちが大切に守り育ててきた歴史・文化を含めて「地域を守る」こと。そして地域に「豊かで明るい農村」を取り戻すこと。それこそが、農業を軸にした様々な取り組みを行う理由です。
安全で安心な製品をお届けするため、通常の栽培方法よりも農薬の使用をできるだけ使用しないように、有機質肥料を使用して栽培しています。急峻な土地での栽培や収穫作業はとても大変ですが、実を傷つけないよう一粒一粒丁寧に手もぎで集めていきます。
林州は梅の中でも特に皮が薄く傷がつきやすいのですが、その分梅干しにするとその果肉と皮の柔らかさが引き立ち、おいしく仕上がるのが魅力。ぜひ一度林州のおいしさをおためしいただきたいです。