日本最大規模の家庭日用品産業がある、和歌山県海南市。もともとは棕櫚産業も盛んでしが、国産の棕櫚を使用した商品の取り扱いは、現在は高田耕造商店のみとなっています。
棕櫚の皮はもともと雨風にさらされても大丈夫なように、強くしなやかです。そのため、パームたわしやスポンジなどに比べて長持ちし、カビなども生えにくい特長があります。
たわし作りは棕櫚の皮の繊維を整えることから始まります。均一な太さの繊維を集めることによって、手に取った時のたわしの柔らかさにつながるのです。揃った繊維はまるで馬毛のよう。
棕櫚の繊維は互いに絡み合い一定の量をつかむのが難しいため、機械生産ができません。短くカットした繊維の絡みをほぐしながら、適度な量を見極め均一の厚みに広げていくのが職人技です。
かつて棕櫚は和歌山の重要な産物でした。しかし、時代の変化と共に安価で入手しやすいパームが主な材料に。棕櫚皮を採取する職人も高齢化が進み、稀少な存在に。「棕櫚産業をもう一度復活させたい」という想いで、髙田耕造商店では職人にも協力を仰ぎ、棕櫚山の再生にも取り組んでいます。