神奈川県西部の海沿いには、幻のオレンジとも言われる黄金柑(ゴールデンオレンジ)が栽培されていました。この黄金柑、味は絶品なのですが、小さくて食べにくく、生産量も少なく市場に出回ることがありませんでした。そこで農業技術センターでは、黄金柑のおいしさをそのままに、みかんの食べやすさを加えた新たな柑橘を生み出しました。しかも湘南ゴールドの出荷時期は、みかんの出荷が落ち着いた3月〜。柑橘農家にとって新たに手掛けるのにもってこいの品種でした。
一般的なみかんよりも小さめで、レモンのように爽やかな黄色が特徴の湘南ゴールド。なめらかな果皮を剥いた時の、清涼感のある香りはやみつきになります。また、十分な糖度もありジューシーな味わいを、県では“幸せを呼ぶ、新感覚オレンジ”と表現しています。
今回お届けする湘南ゴールドは、小田原市にある「香実園いしづか」で栽培されたもの。園主の石塚明さんは27歳で就農し、実家の柑橘栽培を継ぎました。香実園の農家としての歴史は長く、明治時代初期からみかんの生産に力を入れてきましたが、5代目の石塚さんの代になり「新品種にもチャレンジしよう!」という想いで、2005年より湘南ゴールドの栽培にも取り組んでいます。
「湘南ゴールドは寒さにとても弱いので、昨年は不作でした。今年は例年に比べて生育も順調で、良い品の収穫が期待できます。一度食べたらやみつきになる神奈川自慢の湘南ゴールドをぜひ試してみてください」と石塚さん。そのまま果実として味わうのはもちろん、果皮や果汁もおいしいので、ジャムやドレッシング、ゼリーなどの加工品にするのもオススメです。