自然との調和で育むオーガニックいちご

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諸国良品

2019/11/15

熊本県は実はいちごの生産量が栃木県、福岡県に次ぐ国内第3位。「ひのしずく」などオリジナル品種も多く、知られざるいちごの一大産地を形成しています。そんな地にたどり着き、無化学農薬・無化学肥料でいちご栽培に取り組んでいるのが、鹿本町にある「いとう農園」の伊藤将宏さん。会社員時代の海外勤務を経て、熊本でオーガニックいちごを栽培しています。

20~30代は発展途上国の開発支援に従事していたという、農家としては異色の経歴を持つ伊藤さん。40歳を迎える頃、そのまま給与をもらい続ける人生を歩むか悩んでいたそうです。子供の教育のこと、安心・安全な食に対する関心の高まりなどを考えたとき、青空の下すべて自分の責任で完結できる“農業”という仕事への想いは自然と芽生えていきました。

子供3人抱えての40歳からの新規就農、しかも難易度の高いいちごで、本当に結果を残すことができるのか。人生の集大成として選んだ以上、絶対に失敗は許されない。そんな強い覚悟をもって、赴任先のフィジーから、縁もゆかりもない熊本へやってきました。

 

 

 

熊本を選んだ理由は、農地を借りられたことと、いちごの有機農家が近くにいたこと。伊藤さんは1年間いちごの有機栽培を学びつつ、別のハウスでは化学農薬を使用した慣行農法でいちごを栽培していたそうです。その結果たどり着いた結論は、農薬は収穫量の増大や労働の軽減など、人間にとって都合が良いだけで、むしろ生態系のバランスを崩してしまうということ。食べる人にも作る人にも安心・安全ないちごを作りたい。

そこでヒントを得たのは、森の環境でした。森では、アブラムシをてんとう虫の幼虫が食べ、枯れ葉や枯れ枝を無数の微生物が分解し、また豊かな土壌をつくる。自然のサイクルのなか万物が共生しています。この自然の森と同じ環境を、可能な限りハウス内も整えられないか。そう考えたどり着いたのが、多量の木チップを土に埋め込み、枯葉を敷くことで微生物の活動しやすい環境を作ったのです。

 

 

 

こうして徐々にいちごの有機栽培を確立していくのですが、就農2年目には早速、全滅するなど前途多難な船出でした。今でも通常の栽培に比べると収量も大幅に少ないのが現状だそうですが、一つひとつハードルを超えていっている感触はあるようです。そして、2017年にはついに有機JAS認定を取得しました。

将来は障がいを持つ一般就労を目指す方々の受入れを目標としている、いとう農園。そのために作る側にとっても安心・安全で幸せになれる農園作りが必要なのです。そんな伊藤さんが丹精込めて育てているのが、熊本生まれの「ひのしずく」、そして2017年に登録出願されたばかりの「恋みのり」。液肥には焼酎かすを用いるなどして育てられた九州・熊本らしいいちごを是非ご堪能ください。

生産者紹介

  • 供給者画像:生産者名 いとう農園

    生産者名 いとう農園 詳細

    熊本県鹿本町の有機JAS認証のいちご農家。JICAで20~30代、発展途上国の開発途上に従事した後、いちご農家に転身すべく熊本へ移住。万物が共生する森の中の自然の摂理にヒントを得て、炭素循環農法による有機栽培でいちごを育てている。

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