近年サイクリストの聖地として、国内はもとより海外からも人が集まる「尾道今治 しまなみ海道」。寒さに弱く、雨や風により病害が拡がるレモンなどの柑橘にとって、比較的一年中おだやかな瀬戸内海の気候は栽培にうってつけの環境なんだそうです。
有機農業を科学的に学ぶ、農家出身ではない園主の菅(かん)秀和さん。菅さんは、前職で観光農園の柑橘事業を任されたことをきっかけに、瀬戸田町へ移住。空き家を借りたら図らずもレモン畑がついてきたと、家主の姓を借りて「たてみち屋」と名付けました。
長年食に関わる仕事に従事してきた菅さんにとって、「美味しい」というのは大前提。ただ酸っぱいものとして果物としてはあまり認識されていなかったレモンに、「完熟」・「糖度」・「旬」・「食べる」といったキーワードを、まだそれらの言葉がレモンに対して一般的に使用される前から根付かせていきました。
年2回の成分分析を行い「土のカルテ」を作成。農薬や化学肥料に頼らなくてもよい状態へと安定させるため、生物の多様性を大切にした管理をしています。「土の中のサイエンス(科学)」を取り入れ仕組み化することで、次世代へ繋いでいくことにも余念がありません。
そんな「たてみち屋」のレモンは、酸味・甘み・香り、どれをとっても華やか。レモンシロップをつくるにも、レモンサワーにするにも贅沢なほど芳醇な香りを醸し出してくれます。「食べるコトが嬉しいコトとなりますように」と菅さんの言葉通り、体が喜ぶ逸品です。