五箇所の谷からなる五箇山には、開けた農地などが少なく、冬は豪雪地帯のため、限られた場所・時期に食料をつくる必要がありました。雪解けを迎える4月中旬は、ちょうどかぼちゃの種撒きどき。冷蔵庫のない時代、常温で長期保存ができるかぼちゃは栄養価も高く、大雪に閉ざされ物資が不足する冬の貴重な食糧として重宝されてきたそうです。
そんな五箇山のなかでも、利賀村には「白爵かぼちゃ」と呼ばれる特産品がありました。フルーツのようなさわやかさで、甘くてまろやかなかぼちゃ。こんなかぼちゃをもっと広く知らしめることができないか。そう考えたのは、当時、利賀村農業公社に勤めていた吉田信一郎さんでした。
富山市出身で、大阪で就職していた吉田さんは、家庭の事情もあり、Jターンする形で利賀村で働くことに。農業で仕掛けたいと考えていた吉田さんは、利賀村がかぼちゃの栽培に適していることと、昨今のハロウィン需要の高まりから、「ハロウィンかぼちゃ」をつくることに決めたのです。
「ハロウィンかぼちゃを通じて、利賀村がかぼちゃの産地ということが伝われば本望」そう話す吉田さんは、厳しい自然環境にも関わらずとてもオープンな気質の村の人たちからかぼちゃ栽培の教えを乞い、消防団にも駆り出されながら、ハロウィンかぼちゃづくりに精を出しています。
ランタン用のかぼちゃは食用ではありませんが、使わないで作れるのならと、吉田さんは農薬・除草剤は一切使わずに栽培しています。こうして吉田さんが丹精込めて育てた、安心・安全のかぼちゃで、ハロウィン気分を盛り上げてみてはいかがでしょうか?