北に筑後川、南に耳納(みのう)連山に挟まれた扇状地にある「いのうえ農園」。果樹栽培に適した水はけのよい土壌と日当たりの良さ、「水源の森百選」に選ばれた豊かなおいしい水に恵まれています。
園主の井上正隆さんは、代々この地で営んできた農家の後継ぎというわけではなく、前職はメーカーの営業という職歴です。農業をスタートしたきっかけは「とよみつひめ」開発者との出会い。開発者のとよみつひめに対する強い想いに惹かれ、この地を選んで就農しました。
井上さんが農業を始めるにあたって、はじめから貫いているのが「安心」「安全」「高付加価値」。とよみつひめの栽培についても、誰もに難しいと言われた農薬、化学肥料を使用しない農法に挑戦しました。ただ、現実はなかなか難しく、出荷できるレベルに至るまでには、5年の年月がかかったそう。そして、ついに納得のいく「とよみつひめ」を出荷できたとき、初めて農業者になれたうれしさと実感が持てたと話します。
そんな井上さんのもとに、今度は新しい柿の話が舞い込みます。いちごのあまおうを生んだ福岡県が、約10年の歳月をかけて生み出した新たなブランド柿「秋王」。「富有柿」と「太秋柿」を親に持ち、脱渋の必要がない、ほぼ種なし完全甘柿です。
通常の栽培方法で育つ、ほぼ種なし完全甘柿品種が開発されたのは世界でも稀なことでした。非常に難しい交配を成功させた開発者の想いに触れ、井上さんは栽培を決意。耳納連山の麓に、約1000本の秋王を植樹しました。
ただ、秋王は生理落下しやすく、デリケートゆえに外観にキズや擦れが付きやすいなど、栽培が非常に難しい品種でもありました。そんな「秋王」においても、井上さんは農薬を最低限に抑えた栽培法に取り組みます。そこには井上さんが貫く「安心」「安全」「高付加価値」の原点がありました。秋王を口にするお客様のため、また柿そのものの健康のため、減農薬栽培に成功。福岡県GAPの取得、HACCPに則った加工など、公的な認証も相次いで取得しています。
「いのうえ農園」では、収穫後おいしさをそのままお届けするための工夫にも余念がありません。いちじくも柿も収穫後すぐに冷蔵貯蔵する施設を整備し、品質を保持。冷蔵発送することで、収穫時の美味しさをそのままお届けしています。
安心・安全のみならず、高付加価値にこれでもかと取り組む「いのうえ農園」の「とよみつひめ」と「秋王」。これがいちじく?これが柿?と、共に驚かされること間違いありません。是非ご賞味ください。