「パールコーンを栽培するのはとてもむずかしく、隔離栽培するなどの苦労と手間がかかっている。1本の苗から1本しか収穫しなく、だからこそ、感動のおいしさが生まれ、この味が楽しめるのはたった約1か月なのです。」
一筋縄ではいかないパールコーンの生産。その収穫適期も約1週間ほどしかなく、その期間を逃すと、味がのらなかったり、繊維質が残りやすくなるのだそうです。
「最初の1、2年なんて失敗の連続でした。試行錯誤を繰り返し、その感動のおいしさを1本の株に実を2つ実らせられないか、日々研究しています。」
「ぜひ、そのままかじってみてください」と手渡されたパールコーンに思わず目を奪われました。とうもろこしってこんなにきれいな食べものだったんですね。ぱん、と張り大きく揃った粒に歯を立てると、ミルクのような白い果汁が弾け、滴り落ちました。その果汁の甘さといったら、瑞々しくさわやかでいて、舌にじんわり広がるんです。野菜なのに果物みたいな気持ちの良さに驚きしかありませんでした。
「野菜ってほんまに賢いんです、野菜が葉をつけ、花を咲かせ、実を実らせる。そのすべてにタイミングと理由がある。僕たち農家はそれを理解し、水をやったり、肥料を加えたり、野菜が育つ助けとなることが大切なんだと思います」と村田さんは言います。
自然と向き合うこと、地域と関わり合うこと、お互いを思いやること、そのすべてがパールコーンの甘みにあらわれているのかもしれません。
「お客さんがあっと驚くようなものをつくりたいという想いが1番でね。やっぱり自分たちが納得したものを、おいしいと言ってもらえることが、農業を続けていくエネルギーになるんです」
「自分だけじゃない、従業員みんな、食べた人に感動を与えたいという想いは同じだと思います。食べものをつくる人間はこの気持ちを忘れたらだめですよね」と村田さんの言葉には農家として誇りという名のパールコーンの光が垣間見えました。