就農して3年目の宍戸 聖さん。3代目の園主であり父である、薫さんとともに日々、品質の良いものをお届けしたいと果物づくりに励んでいます。そんな聖さんが「農家になる」と決めたのは、2021年頃。幼いころから農業は傍にあったが、20代の頃は農業の仕事をするつもりはなかったとのこと。社会人になり、通信工のお仕事に勤めていた聖さん。仕事をするようになり、両親の働く姿を見て、農業へのプライドをもって仕事をしている姿に心を動かされたそうです。「一番感じるのは、仕事をしていて儲けようではなく、より良いものをつくってお届けしたいという気持ちです。」そんな想いを引継ぎ、農家になることを決心します。
宍戸果樹園は吾妻山が一望できる景観が綺麗な場所にあります。幼いころからその景色が好きだった聖さん。「大人になって地元へ帰る際に、地域が高齢化してきていることを感じました。農業をしている方が多い地域でもあるので、畑をやめて遊休農地や耕作放棄地が増えたんです。幼いころに慣れ親しんだ景色が変わってきていることに心を痛めました。この土地を、農業を守っていきたい、そう思い始めたことも就農したきっかけです。」と語ります。
両親の働く姿を見ていて、年齢とともに大変さを見て感じていました。「なんとかしてあげたい。」と思い、福島県の果樹研究所で1年間学び始めます。2023年に取得したGAP認証※も、研修中に学んだとのこと。「就農1年目から、GAP認証の取得に向けて励みました。農家は高齢化も進み、怪我をする人もいるので作物だけでなく労働者の管理も重要です。」作業がスムーズにいく点も取得してよかったことの一つだそう。「記録を取ることで、作業が可視化されるので、新規就農であっても理解をしながら仕事をすることができています。」 ※(GAPとはGood Agricultural Practicesの略で、「良い農業の実践」)
「GAPを通じた記録を振り返ると、改善点・課題が見つかるので、より美味しいものがお届けできると思います。」と、常に作物と向き合っています。
地道な作業も多く、忍耐力も必要です。収穫時期はモチベーションになっており、楽しみであるといいます。「収穫の先に喜んでくれるお客様がいる」そう思って日々の作業に励んでいます。
宍戸果樹園の美味しさのポイントは「化成肥料を控えて、有機たい肥を多く与える。作物の持っている自然の力で栽培をしていくこと。」作物の面積を増やしていくことよりも、自分たちがすみずみまで手が回る範囲で、手をかけて品質を重視しているそうです。
「お買い求めやすい価格で、沢山の方に食べていただきたい」と園主の薫さんも大切にしていることを継承しています。
「これからも手を抜かずにおいしいものをつくりたいです。何よりもお客様を第一に大切にしたいですし、期待してくださっているお客様を裏切りたくないので、代がかわって味が落ちたと言われないように頑張ります」と言う力強い眼差しは、宍戸果樹園の果物を「食べてみたい・応援したい」とそう思わせてくれました。