江戸からつづく「さしま茶」の伝統と技術を後世に。

江戸からつづく「さしま茶」の伝統と技術を後世に。

諸国良品

2026/01/01

茨城県猿島(さしま)郡境町。
関東平野の中央、利根川流域に広がるこの地は、火山灰が堆積した肥沃な土壌と、冬の厳しい北西風に育まれ、肉厚で旨みのある茶葉を生み出してきました。「さしま茶」とは、この一帯の旧地名である「猿島(さしま)」に由来するお茶。江戸時代には利根川水運を通じて江戸へと運ばれ、かつての下総国(現在の茨城県西部)の名産として、多くの人々に親しまれていたといいます。

そんな江戸時代(1778年)から続くこの茶どころで、茶揉み製法という日本茶の伝統技術と向き合い、その技を次の時代へとつないでいるのが、飯田園です。
機械化が進む現代においても、茶葉と手の感覚を頼りに仕上げる製茶の本質を大切にしながら、さしま茶の歴史と価値を守り続けています。

飯田園では、八代にわたり受け継がれてきた茶畑で自然と向き合い、茶葉の栽培から製茶まで一貫してお茶づくりに向き合ってきました。
その年、その畑の状態を見極めて仕上げる一杯には、生産者の姿勢と積み重ねてきた時間が表れています。

中でも八代目の飯田耕平(いいだ こうへい)さんは、日本茶の伝統技術である“手揉み(てもみ)茶”の名匠として知られ、全国手揉み製茶技術競技大会で日本一を複数回受賞。機械に頼らず、手で茶葉を丁寧に揉む伝統技法を守り続けています。

記事内画像:001 江戸からつづく「さしま茶」の伝統と技術を後世に。

その工程は手間を惜しまず、摘み取った茶葉を蒸した後、数時間かけて1枚ずつ丁寧に揉み上げるというもの。仕上がったお茶は急須に注ぐとふっくらと若葉の形に戻り、透明感のある黄金色の水色(すいしょく)と豊かな甘み・旨みを湛えます。

記事内画像:002 江戸からつづく「さしま茶」の伝統と技術を後世に。

さしま茶には、かつて世界へと渡った歴史があります。幕末、黒船来航をきっかけに日本の茶が海外へ輸出され始めた際、この地の茶もまた、輸出貿易に成功した記録が残されています。飯田園では、そうした歴史を単なる過去の出来事としてではなく、未来へとつなぐべき挑戦の原点として捉えています。

その想いから生まれた取り組みのひとつが、「噛み茶」です。茶葉を飲むのではなく“噛んで味わう”という新しい発想は、日本茶の可能性を現代の暮らしにひらく試み。茶葉そのものの旨みや香り、栄養をまるごと楽しむこのお茶には、伝統を守るだけでなく、形を変えて伝えていこうとする姿勢が表れています。

手揉み製法という日本茶の原点と、噛み茶という新しい表現。そのどちらにも共通しているのは、「日本の茶を、きちんと世界に届けたい」というまっすぐな意志です。
江戸から受け継がれてきたさしま茶の技と精神を携え、飯田園はこれからも、日本茶の価値を次の時代、そして世界へと伝え続けていきます。

記事内画像:003 江戸からつづく「さしま茶」の伝統と技術を後世に。

生産者紹介

  • 飯田園(さしま茶)

    生産者名 飯田園(さしま茶) 詳細

    江戸時代(1778年)から続く茶どころ、茨城県猿島郡境町で、八代にわたりお茶づくりを続けてきた、飯田園。
    受け継がれてきた茶畑で茶葉を育て、栽培から製茶まで一貫して向き合いながら、その年、その畑の個性を生かしたお茶を仕上げています。
    伝統技術と手仕事の感覚を大切にしつつ、さしま茶の価値を次の時代、そして世界へと伝えていくことにも挑戦しています。

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