かつて「不毛の地」と呼ばれた砂丘地での農業は、水の確保が最大の課題でした。浜井戸から桶で水を汲み、炎天下のなか天秤をかついで畑に何度も水を撒く作業は「嫁殺し」と呼ばれるほど過酷なものだったとか。この環境を改善しようと戦後、鳥取では初のスプリンクラー灌水を導入するなど、様々な技術開発が進み、不毛の地は特産品が生産される優良農地へと生まれ変わったのです。
らっきょうの植え付けは毎年、8月上旬から9月にかけて。真夏の間に、玉太りのよいものを1玉1玉厳選し、手作業で植え付けられたらっきょうは、秋になると一面、紫の花を咲かせます。その光景は「砂丘のラベンダー」とも呼ばれるほど。そして、冬の間は日本海から吹き付ける厳しい風雪に耐え、じっと春の到来を待つのです。寒さが厳しければ厳しいほど、身の引き締まった美味しいらっきょうに育つそうです。
そんならっきょうを鳥取県中部、北栄町で栽培しているのが「浜根農園」です。この地で4代に渡って農地を営んできている浜根親子には、鳥取ならではの水はけが良く・柔らかい砂丘土壌での農業技術が蓄積されており、農薬・化学肥料に頼らずにらっきょうや紫エシャロット、生落花生、いちご、ぶどう、サツマイモなどを育てています。
浜根農園では地域の人へも食について考えるきっかけとなってもらえればと、四季折々の作物の収穫体験も行っています。農園で開催するイベントでは親子で弾き語りを演奏するなど、地域でも仲良し親子で評判の浜根農園へは、親子に会うために訪れる人も多いんだそう。
浜根親子が育てたらっきょうは、農薬の使用を極力まで絞った特別栽培の「根付き」のもので、しっかりと根を張りながら育った、生命力にあふれるものです。らっきょう漬けなどお楽しみください。一方、ほんのり紫がかった「紫エシャロット」は農薬・化学肥料不使用で栽培した「根きり」したもので、生食も可能です!ご堪能ください。