「フルーツグロアー澤登」で採用しているのが、「サイドレスハウス」と命名した側面が開いている状態のハウス。ブドウと外気の温度差を利用して空気の対流を起こし、ハウス内の湿度を下げる効果があるそうです。
これはブドウの原生地、中央アジアの気候をヒントに、湿度が病害の大きな要因ということを突き止め、雨が避けられて低湿度に保てる環境を生み出したのです。さらに病気に強い系統を選別しながら品種の研究にも力を注ぎ、約10年かけてブドウの農薬不使用栽培化に成功しました。
「亜寒帯から熱帯まで、ブドウほど世界中で作られているフルーツはありません。しかも、それぞれの気候風土に合った品種を作っています。日本では当然、日本の気候風土に適したものを作るべき」と、「フルーツグロアー澤登」が作るのは日本固有の品種がほとんど。
そんな「フルーツグロアー澤登」のブドウの樹は、幹が細いのが特徴です。肥料をあげ過ぎたり、枝の伸ばし方や切り方によっては、樹ばかりに栄養がいって、花や実の付が悪くなるんだとか。そのため、畑には農薬も化学肥料もまかないのだといいます。
「農業を“生命産業”として位置付けることが大切です。日本には素晴らしい気候・風土の国土があるのに、食料自給率が40%を切るのは農業がないがしろにされてきた証拠。生命を育てている産業として認識し、農業を推進していかないと日本は滅びる・・・」
芳さんの遺言を胸に、娘の早苗さんが語ります。「農業を推進していくために、消費者に生産現場のことを伝えていこうと思います。体を作り、健康でいるために食べているわけなので、たべものがどう作られているかをもっと知ってもらいたいですね」