「裂いて編む、その過程こそが自分を取り戻すひととき」荻野玲子さん

「裂いて編む、その過程こそが自分を取り戻すひととき」荻野玲子さん

おたより/手をうごかすよろこび 無印DIY部

2026/02/11

刺繍、工作、絵、料理……自分の手をうごかして何かを作ることに没頭していると、散らばっていた思考が少しずつ整っていき、ざわついていた心がすとんと落ち着く。作ることは自分と向き合う、豊かなこと。無印良品のアイテムを使ったDIY教室、7回目は、スタイリストの荻野玲子さんに“裂き編み”を教えてもらいました。
(取材・荒木にこ 撮影・表萌々花)
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荻野玲子
おぎの・れいこ 東京都生まれ。岡尾美代子氏に師事し、2013年独立。ファッション・雑貨・インテリアと幅広く活動中。2022年より松本市蟻ヶ崎にヴィンテージショップ「REVONTULI」も構え、週末のみオープン。長野と東京の2拠点生活をしている。


昔の女学校では、気持ちを整えるために毎朝刺し子をする習慣があったのだとか。そう教えてくれた荻野さんも編み物や刺繍をするのが日々の息抜きになっているという。今回は不要になった服を裂いてかぎ編みしていく“裂き編み”の方法とコツを伝授。

不要になった衣類を再利用できる“裂き編み”でマットをつくる

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<材料>

  • 不要になった服(綿など自然素材が裂きやすい)
  • かぎ針
  • ハサミ

<作り方>

①布にハサミで切れ込みを入れて、裂きやすい方向に引っ張る。

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②布の端までいったら裂き切らずに同じくらいの幅に切れ込みを入れる。この作業を繰り返して、長いテープをつくっていく。

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③万が一、途中で切れてしまった場合は、端と端を結んでつなぐ。

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④ある程度の長さになったら、毛糸玉のように巻いていく。

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⑤できたテープでかぎ編みをしていけばマットの完成。

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「テープの幅を太めにすればその分早く出来上がります。複数の服を裂いたテープを使って途中から糸を変えれば、ボーダーのようなデザインにも。もし、生地にシミがついていても、編んでしまえば模様に紛れて目立たなくなるのもこの手法ならでは。大きさによって、ポットマットや玄関マットなど、いろんな用途に使えます。ちなみに、一番はじめにスカートから作ったマットは、我が家では猫のしまくんの特等席に(笑)」

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窓辺に敷かれたマットは、愛猫しまくんもお気に入り。

古いファブリックを引き継ぐリメイクと手芸の習慣

「とにかく生地に触れるのが好き」という荻野さんは、昔からいろんなファブリックを目にする機会に恵まれていたという。

「母がパタンナーで生地を扱う仕事をしていたので、子どもの頃からミシンや作りたての服が身近にある環境でした。実は、昔〈ミナ ペルホネン〉でアルバイトしていた時期もあったほど。常に珍しい織りや刺繍、プリントとの出合いを求めています。服を選ぶときも、いつも生地を重要視していますね。そんなふうに、ずっとファブリックが好きなんです」

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古い図案の刺繍を施し、荻野さん自身がクッションカバーにリメイクしたもの。
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やわらかい光を取り込む窓辺のカーテンは、ヴィンテージのシーツを繋ぎ合わせてできているそう。

荻野さん自身が長野の松本でヴィンテージショップを始めたのを機に、海外買い付けを通してファブリックとの出合いが、いっそう広がっていった。古いものを引き継ぐつもりでリメイクも行っている。

「年2回ほど、フランスやベルギー、フィンランドなど、ヨーロッパを巡り買い付けをしています。そこでも古いファブリックを探しています。古いものって、汚れや傷み具合で、そこに使っていた人がいないのに、その人の性格や癖が垣間見える。私はそんな先人の形跡や積み重ねられた時間こそ、ヴィンテージの魅力だと思っているんです。持ち帰った素材は、クッションにしたり、ノートの表紙にしたり、新たな形に生まれ変わらせる。イギリスやフィンランドには裂き織りの文化があるので、古い生地がすでに裂かれた状態で売られていたりもするんですよ」

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「古い布をノートにするワークショップに参加して作りました」と荻野さん。日本ではあまりみない模様や絵柄が素敵。

スタイリストとヴィンテージショップのオーナーという二足の草鞋を履く荻野さん。多忙な日々だが、仕事を終えて、寝る前の手芸に没頭する時間が自分をリセットするひとときだという。

「朝起きた瞬間から、四六時中仕事のことを考えてしまうんです。不安やプレッシャーがあると疲れるけれど、手芸をする時間だけはいろんな雑念から逃れられる。冬はニットを編んだり、夏は刺繍をしたり、手を動かすだけで無心になれます。正直、作品が完成しちゃうと関心がなくなってしまうので、たまに糸を解いてやり直すことも。本当にこの作業中が私にとってストレス発散できる貴重な時間です」

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荻野さんの作業のお供はラジオ。写真家・山口明さんが改造した昔のラジカセは、スマートフォンとブルートゥースで繋げることができる。昭和のスピーカーから令和のアイドルの歌声(意外!)を聴くのが日課。

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