素材を味わい、満たされる。“無印良品の食”を表現するカフェ&レストラン

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おたより/MUJIが暮らしに届くまで

2026/02/18

7000を超える、無印良品の商品。そのどれもが、たくさんのひとの思いをかたちにして、お客さまの手元へと届いています。この連載では、商品企画や材料選定といった「川上」から、店頭に並ぶ「川下」まで、その過程にあるストーリーを紐解いていきます。第3回目は、無印良品が手がけるカフェ、レストランについて、食品部で外食事業を担当する日向さんに話を聞きました。 
取材と文・野口理恵(rn press) イラスト・いそのけい 

コンセプトは「素(そ)の食」

——無印良品が手掛がけるカフェやレストランにはどのようなものがありますか?

日向さん(以下、日向):2000年に京都にあるプラッツ近鉄(近鉄百貨店京都店閉店に伴い、現在は閉店)にオープンしたお店が1号店で、そこから少しずつ全国へと広がり、現在はベーカリーを含め、27店舗を展開しています。

中心となっているのは、約15種類のデリから選べるプレートが特長的な Café&Meal MUJI 。ほかにも、軽食をとれるよりカジュアルな雰囲気の Café MUJI 、小麦や季節の野菜など素材にこだわり、店内で焼き上げたパンを提供する MUJI Bakery などがあります。

Café&Meal MUJI 無印良品
Café&Meal MUJI の選べるデリ。

また、銀座店にはテーブルでのフルサービスを基本とし、世界各国の「食文化」や「暮らしの知恵」に学んだメニューを提供している MUJI Diner が、2025年からは、郊外の大型店を中心にお客さまの憩いの場となることを目指した コーヒー&アイス が続々とオープン。

お店の形態や、提供しているメニューに違いはありますが、通底しているのが「素(そ)の食」というコンセプトです。

——「素の食」とは何でしょうか?

日向:旬の食材や、地域ならではの食材、不揃いや規格外などの理由(ワケ)のある食材を使い、“素材の持つおいしさをどう生かすか”という視点をベースにした考えで、料理を通して、生産者の思いや、地域の風土や文化含めて伝えることを目指しています。

素の食には以下6つの項目があり、⑤⑥を基本とし、①〜④のいずれか1つ以上がどのメニューにも該当するように開発を行っているんです。

素(そ)の食

①素材を生かす:旬の食材を取り入れ、シンプルな調理法で素材の旨みを引き出します。
②地域や生産者とのつながり:農地の訪問・産地の紹介で生産者の思いを知り、伝えます。
③世界の文化に学び、伝える:その地域の風土や文化が反映された料理を通じて、世界の食文化を学び、伝えていきます。
④無駄なく使う:不揃いやキズなど見た目が理由で活用されていない食材や、使いづらい食材も無駄なく使います。
⑤安心安全な食:見た目や無理な保存のための加工は施さず、食材、調味料、調理過程、すべての安心安全を目指します。
⑥毎日の食事を楽しむ場所:家族や友人と会話を楽しみながら、あるいはひとりの時間を満喫しながら、ゆったりとした居心地の良い空間を提供します。

基本的にはまず素材があり、それをどう生かすかというのがスタート地点。物販に比べて、カフェやレストランは規模が小さいので、魅力的な素材との出合いを商品に落とし込みやすく、これは外食事業ならではの強みだと思います。

素材との出合いが出発点

——具体的に素材選びはどのように行っているのでしょうか?

日向:食品に限らずですが、無印良品では「現地に足を運ぶ」ということを大切にしていて、生産者と会話しながら食材を選んだり、行った先でまた新たな食材との出合いがあったり。ほかにも、社外の方とのコミュニケーションの中で得た情報をもとに現地を訪れて、魅力的な食材を発掘するというケースもあります。

例えば、 Café&Meal MUJI のデリメニューの一つ「カラフルトマトのサラダ(例年は6月頃に提供。2026年は未定)」で使われるトマト。農家さんが収穫するものは、サイズや色がバラバラだったり、ヘタが取れてしまってるものもあります。

店舗のオペレーションを考えれば、できるだけ均質な素材を同じように調理するほうが効率的ですが、トマトの不揃いやヘタの有無は味には関係ありません

さらにそれぞれのかたちに合わせてカット方法を工夫したり、さまざまな色のトマトが混ざり合うことで、見た目も食感も楽しくなるので、農家さんや八百屋さんと話しながら通常なら規格外となるような不揃いの食材も含めて選んでいます

同じように、味は変わらないけれど、見た目の問題で規格外や未活用、未利用となっている海産物も積極的に活用。ほかには、代表的な食材として、「森林ノ牧場のジャージー牛乳」と青森県弘前市の「成田農園のりんご」があります。

林業の衰退で、手を加えないと荒れてしまい、土砂崩れの原因にもなってしまう森林に牛を放牧して下草を食べてもらうことで整備し、そこでとれたジャージー牛乳を使った商品を販売しているのが森林ノ牧場。

森林ノ牧場 ジャージー牛乳
森林ノ牧場の放牧の様子。

取り組みへの共感と、ジャージー牛乳のおいしさに感動し、何とか商品化をしたいと思って「Café&Meal MUJI」のソフトクリームにはじまり、「素材を生かしたアイス ジャージー牛乳」として現在は物販の商品(※一部店舗)として店頭にも。

成田農園とのつながりは、収穫間近に雹(ひょう)が降って、りんごの価格がつかなくて困っているという話を聞き、現地に足を運んだことを機にはじまりました。

以降、規格がバラバラのものや、味はおいしいけれど雹害などで見た目が良くないものを使わせてもらったり、無印良品専用の区画をつくっていただき、見た目を良くするために行っている工程を省いて、生産の負担を減らしたりんごを出荷いただいています。

成田農園 りんご 無印良品
成田農園のりんご。担当のスタッフが現地に行き、収穫作業などを一緒に行う。

成田農園のりんごは、カフェメニューの「アップルパイ」やデリの「りんごのサラダ」として提供しているほか、銀座店では青果としても販売しています。

食を通して、暮らしを豊かに

——食材と出合い、それを料理して提供する過程で、工夫していることはありますか?

日向:食は地域の特長が表れやすく、同じ食材、品種でも国や地域によって味や食べ方が違う。だからこそ、現地に足を運ぶ中で、実際に行ってみたからこそわかる食文化や風土を生かすようにしています。

地域の知恵を借りて、料理の根本はそのまま、食材や味付けをアレンジして、家庭料理のヒントになるように仕上げているのがポイントです。

また、私たちが目指しているのは「毎日の食事を楽しむ場所」。旬の野菜を豊富に使った体がよろこぶデリを季節の前後半で変えて提供することで、訪れるたびに変化を感じられ、日常的に利用していただきやすいようにしています。

味つけも、夏なら自然と食欲湧くような、酸味や辛味を取り入れるといったように、季節に合わせたものを取り入れ、和風、洋風、エスニック風などバリエーション豊かなものから選べるように。

さらに、調味料含めほとんど手づくりなので、出来合いのものと異なり、家庭料理と同じように、微妙な“ゆらぎ”がある。だからこそ、落ち着きを感じられたり、飽きることなく、日常的に食べていただける味わいに仕上がっていると思います。

素材調達からお客さまのもとへ料理が届くまでの流れ 無印良品 レストラン カフェ
素材調達からお客さまのもとへ料理が届くまでの流れ

——店舗の雰囲気やお客さまの反応はどうですか?

日向:店内は自然素材を使用した落ち着いた雰囲気で、ひとりで過ごしたいときも、誰かと会話を楽しみたいときも、心地良さを感じていただけるような空間づくりをしています。

来店したときは、お腹を空かせて表情が硬いお客さまが多いのですが、食べ終わったあとは心がほぐれてみんな笑顔になる。「おいしかった」という表情を目の前で見られたり、実際にお声を聞けたりするのは本当にうれしいです。

——今後、取り組んでいきたいことや目標はありますか?

日向:毎日の食事を楽しむ場に加えて、つながりを生むコミュニティセンターとしての役割を担っていきたいと思っています。

それを体現しているのが淹れたてのコーヒーや、地域の素材を活かしたアイスクリームなどを提供する「コーヒー&アイス」。カフェとしてだけではなく、店内のインフォメーションカウンターの役割を担えないかという発想から立ち上げました。

無印良品 コーヒー&アイス
「コーヒー&アイス」の店頭の様子。

お買い物がないときでもちょっと立ち寄れる場所、みんなが集える場所みたいな感じで、頻繁に無印良品に来店していただけるきっかけになったら良いなと。

実際、店舗のスタッフからは「お客さまとのコミュニケーションが増えた」や「若年層のお客さまの来店が増えた」などの声が届いています。

これからも、食を通した体験で、暮らしを豊かにする場所として、無印良品の“食”を多くの方に届けていきたいですね。

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