つくる人もたべる人も笑顔に。「ライム発酵チョコレート」のおいしさの秘密

無印良品 ライム発酵チョコレート

おたより/MUJIが暮らしに届くまで

2025/12/07

7000を超える、無印良品の商品。そのどれもが、たくさんのひとの思いをかたちにして、お客さまの手元へと届いています。この連載では、商品企画や材料選定といった「川上」から、店頭に並ぶ「川下」まで、その過程にあるストーリーを紐解いていきます。第1回目は2025年1月に季節限定で新発売し、12月3日よりラインナップを新たに発売を開始した「ライム発酵のカカオを生かした チョコレート」シリーズについて、食品部の関根さん、堀江さんに話を聞きました。
取材と文・野口理恵(rn press) イラスト・いそのけい

※12月15日(月)より、ネットストアにて全商品の販売を再開しました。詳しくはこちらからご確認ください。

ライムの爽やかな香りが新しいチョコレート

——まず、「ライム発酵のカカオを生かした チョコレート」シリーズの特長を教えてください。

関根:「ライム発酵のカカオを生かした チョコレート」シリーズでは、生産地に根ざした活動を行っている京都のチョコレートブランド 『dari K』 さんと協業し、農家さんにも環境にも配慮されたインドネシアのスラウェシ島産のカカオを使っています。

そのカカオ豆を発酵させる工程で、現地ではおなじみの果物であるライムを刻んで加えることにより、ライムの香りを自然とカカオ豆に移し、爽やかで新鮮な味わいを楽しむことができます

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左上から時計回りに、「ライム発酵のカカオを生かした チョコレート」490円、「ライム発酵のカカオを生かした チョコがけカシューナッツ」550円、「ライム発酵のカカオを生かした レーズントリュフ」550円、「ライム発酵のカカオを生かしたアイス チョコレート」350円。

——「ライム発酵のカカオを生かした チョコレート」シリーズの商品開発はどのようにして始まったのでしょうか?

関根カカオ豆の栽培からチョコレートの製造・販売までを一貫して行うことで、品質の高さや、倫理的な透明性を担保できる製造方法「​​Farm to Bar」による商品をつくろうという考えがまずチーム内にありました。

ただそれだけではなく、お客さまに新しい発見や価値を提供したいと思い、フルーツの風味や香りをカカオ豆にまとわせる「フルーツ発酵」に着目したんです。

無印良品 ライム発酵チョコレート チョコレート サスティナビリティ
刻んだライムをカカオ豆に加え、発酵させる工程。

そこで、フルーツ発酵のノウハウがある会社を調べていたところ『dari K』さんを知りました。

『dari K』さんは、担当者が現地に長年住み込んで、農家さんと信頼関係を築き、環境に配慮した農法で良質なカカオ豆を栽培し、それを適正な価格で買い取ってチョコレートをつくっています。

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カカオの実。

無印良品では、おいしさはもちろんのこと、現地に根ざした活動農家さんとの関係性環境への配慮といったことにも重きを置いており、目指す方向が重なっていたため、今回、パートナーとして、一緒に商品開発をスタートさせました。

そうした背景があり、「ライム発酵のカカオを生かした チョコレート」シリーズのパッケージには、現地生産者と『dari K』さんと一緒につくった商品であることを明記しています。

対話を通して“より良い”を模索する

——実際、カカオの栽培や、チョコレートができるまでの過程でどのような工夫や取り組みをしているのでしょうか?

関根:ココナッツやバナナ、マンゴーなどの、背の高い樹木を一緒に育てることで、日差しに弱いカカオを守り、農薬の過剰散布を防ぎ、環境への負荷を極力減らしています

このように、多種の植物を共存させて、その相互作用によって持続可能な生産を行う方法を「アグロフォレストリー農法」といい、カカオ以外の作物の副収入で農家さんの暮らしを守ることにも役立っています。

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アグロフォレストリー農法を行ってる農園の様子。

また、育成方法も農家さん任せではなく、土や樹木を見ながら、その土地に合った方法を一緒に探り、それを踏まえて農家さん自身が工夫を重ねることで収穫量が増え、質の良い価値のあるカカオ豆の生産を実現しています。

さらに、今回は発酵過程にひと手間加えることで、質の良いカカオ豆にフルーツ風味という、通常発酵のカカオ豆にはない付加価値をつけているのもポイント。

通常、香料などを足すといった加工作業は、輸出先の国で行われることがほとんどで、フルーツ発酵したカカオ豆は他と差別化できるため、市場での取り引き価格アップにつながるんです。

農家さんの努力による付加価値を、きちんと商品の価格にも反映し、それをお客さまに理解していただいたうえで選んでいただく。農家さんはがんばるほど還元され、お客さまは新しい味わいのチョコレートを楽しめるという良い循環が生まれています。

無印良品 ライム発酵チョコレート MUJIが暮らしに届くまで
「ライム発酵のカカオを生かした チョコレート」シリーズができるまで。

持続可能なものづくりに欠かせない生産者との信頼関係

——2025年1月から発売を開始し、反応はどうでしたか?

堀江:発売に合わせて、インドネシアのことや、今回の取り組みのことをお客さまに直接伝えられるように、銀座と大阪の2店舗で『dari K』さん、農家さんをゲストに迎えたイベントを実施しました。

無印良品 ライム発酵チョコレート イベント
『dari K』さんと農家さんをゲストに迎えたイベントの様子。

イベントではお客さまが喜んでくださっただけではなく、チョコレートを食べて笑顔になっている姿を見て、農家さんがとても感動していたのが印象的でしたね。

生産者と消費者がつながることで、農家さんは喜びとやりがいお客さまは安心と発見を得ることができたのではないかと思います。

——商品発売後、現地との関係性で変化はありましたか?

堀江:商品開発をはじめた2023年より、開発担当者が毎年、現地に足を運んで農家さんと対話を重ねるだけではなく、カカオの接ぎ木の体験や、地元の小学校でこどもたちとチョコレートづくりなどを実施するなど、地元の皆さんとの交流を深めています

そうした中で、年々信頼関係が育ってきて「無印良品の商品づくりに協力したい」といってくださる農家さんが増えてきているんです。嬉しいですよね。

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売上ももちろん重要ですが、無印良品では、生産者との関係性を丁寧に築き、“長く続けていく”ことを大切にしています。今後もこういった取り組みを広げていきたいです。

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