暮らしのQ&A
スムーズに眠りへ。夏の体温調節を助ける入浴のすすめ

2026/08/25
取材・文/オカモトノブコ
「ユークロニア株式会社」代表。国立病院機構にて高次脳機能障がいや神経難病のリハビリテーションに従事。現在は、東京の「ベスリクリニック」で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行い、メディア監修も多数。主な著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』(文響社)、『多忙感』(サンマーク出版)など。
夏にこそ“おすすめ”な入浴は「熱放散」がカギ
暑い夏は湯船に浸からず、シャワーだけで済ませるという人も多いはず。これに対して、入浴の効果を菅原さんは次のように説明します。

「湯船に浸かると、深部体温は一時的に上がります。しかし、入浴後は上がった熱を逃がそうと、血管が拡張し、熱放散が促進。入浴しない場合より、深部体温がしっかり下がり、これが心地良い眠りへとスムーズに導きます。
高温多湿の環境で過ごす夏の体は、熱をうまく外へ逃がすことが難しい状態。深部体温が下がりにくいことで、睡眠の質の低下につながります。
また、本来は体温が上がれば、元の状態に戻そうと、体温調節機能が働きますが、ながく高温多湿の環境にさらされると、体はそれに適応しようとします。その結果、体温調節のリズムが乱れ、体に負担がかかり“夏バテ”の引き金に。
そこで夜にしっかりと湯船に浸かり、体の熱放散を助けることで、睡眠の質を高めるとともに、体温調節機能を本来のリズムに整えられ、“夏バテ”のケアにつながります。
また、体に均等な水圧がかかることで、固く凝った筋肉がゆるみやすくなるのも、入浴ならではのメリットです」
のぼせやすい人は、足湯からの段階的な入浴を
「お風呂の温度や時間については、40度くらいのややぬるめのお湯で、15分程度がひとつの目安に。けれど、これじゃだめという決まりはまったくありません。“体が緩んだ”“心地良くあたたまった”という感覚をまずは大切にしてください。
また、汗を急激にかいてのぼせやすく、お風呂にながく入れない人におすすめのなのが、足から先に湯船に浸かっていく入浴法。まず末端にある静脈の血液があたたまり、じんわり広がっていくのを感じてから、全身を湯船に浸していきましょう。
夜に入浴する場合のタイミングは、深部体温が下がる時間を考えると、寝る1時間~1時間半前くらいが理想的。もし遅くなった場合でも、入浴後は30分程度、体が熱放散する時間を置いてから布団に入ると、質の良い睡眠が得やすくなります」
夏のお風呂におすすめの入浴剤と選び方
お風呂の時間をより心地良くし、温浴効果を高めてくれる入浴剤。目的や気分に合わせて選ぶポイントとは?
「炭酸タイプの入浴剤は、ぬるめのお湯でもじんわりあたたかさを感じやすく、ながくお風呂を楽しめるので夏の入浴にもぴったり。血行促進効果も持続します」

「また入浴に関する研究では、香りやバスソルトを取り入れると温浴による効果が早くあらわれやすいことも明らかに。
さらに、お風呂の湯気とともにアロマなどの芳香成分を吸引すると、嗅覚刺激が脳にダイレクトに働きかけるため、自分にとって快適だと感じる香りを選ぶと良いでしょう」
選べる3つのコースで、お風呂を“義務”にしないこと
とはいえ忙しい日々の中で、「ちゃんとお風呂に入らなきゃ」と逆にプレッシャーを感じてしまうのは本末転倒。そこで菅原さんが提案するのは、自分の中で「3つの入浴コース」を準備しておくことです。
① 手早く済ませたい日は、シャワーだけで時短に
② とりあえず、湯船につかる時間は取る
③ お気に入りの入浴剤や、頭皮マッサージなどセルフケアを取り入れる
「ポイントは“今日はこのメニュー”と、あらかじめ決めておくこと。そのときの気分によって、また時間に余裕があるときに、リッチなお風呂タイムを楽しむようにすると良いでしょう」

最後に、夏のお風呂上がりで見逃せない注意点がひとつ。
「お風呂から上がったあと、汗が早く引くようにエアコンの冷風に直に当たったり、冷たい飲み物をガブ飲みするのは避けましょう。熱放散により深部体温を下げる働きを妨げ、体にも負担をかけてしまいます。
ポイントは、お風呂上がりは吸水性の良いタオル素材のはおりものなどを身に着け、汗が自然に引くまでそのままにすること。しっかり熱放散させることで、夏の入浴効果をしっかり得ることができますよ」
← 前の記事へ
← 前の記事へ




