暮らしのQ&A
秋の冷えに注意。温活視点で考える衣服とインナーの選び方

2026/10/05
取材・文/秦レンナ
いしはら・にいな 医師。イシハラクリニック副院長。帝京大学医学部卒業後、同大学病院で研修を経て、現在は漢方医学、自然療法、食事療法を取り入れた診療にあたる。ベストセラー『病気にならない蒸し生姜健康法(アスコム健康BOOKS)』をはじめ、『体を温めて冷えをとる! 温活365日(内外出版社)』『やせる不調がとれる読む冷えとり(主婦の友社)』など、温活に関する著書多数。
油断しがちな秋。その不調、「冷え」のせいかも?
日中は半袖で過ごせても、帰り道には上着が欲しくなる。秋は一日の寒暖差が大きい一方で、まだ暑い日もあるため、夏と同じ感覚で過ごしがちです。
「日中の暖かさに合わせて薄着で出かけたり、冷たいものを飲み続けたり、入浴をシャワーだけで済ませたりと、油断しがちなのがこの時期。知らないうちに体が冷えてしまい、疲労感や不眠、食欲不振など、“秋バテ”とも呼ばれる不調を引き起こしてしまうこともあります」と石原先生。
季節の変わり目に限らず、「冷え」は日ごろの体調にも大きく関わるといいます。
「体が冷えると、熱を逃がさないように手足の血管が縮み、血の巡りも滞りやすくなります。血の巡りが悪くなると、肩こりや腰痛、便秘や下痢、むくみが気になったり、生理痛や更年期の不調がつらく感じられたり、さまざまな不調につながります。まさに、冷えは“万病の元”なのです」
あなたは大丈夫?「冷え」のサイン
自分の「冷え」に気づくには、まず普段の体温を知ることが一つの手がかりになります。
「理想は平熱36度以上ですが、35度台という人はかなり多くいます。そういう方は自覚がなくても、いわゆる“冷え性”です」と石原先生。
一方、体温が36度以上でも、手足がいつも冷たい、まわりの人は平気なのに自分だけ寒いといった感覚があるなら、冷えに目を向けたいところ。低血圧や貧血のある人、筋肉量が少ない人も冷えやすいといいます。

「筋肉は体の熱をつくるので、筋肉量の少ない女性や、年齢とともに筋肉量が減った年配の方は冷えやすくなります。また、運動不足やストレス、睡眠不足なども、血の巡りを悪化させ、冷えの原因に。つまり現代人の多くは、冷えやすい生活をしていると言えるでしょう」
秋は「頭寒足熱」を意識して、冷え対策を
そこで石原先生がすすめるのが、運動や入浴、食事などを通して体をあたため、冷えによる不調の改善を目指す「温活」です。
毎日身に着ける衣服を見直すことも、温活を始める方法の一つ。寒暖差のある秋、服選びではどこをあたためると良いのでしょうか。石原先生がまず挙げるのは、お腹と、首・手首・足首の「三首」です。
「お腹には胃や腸など、多くの臓器が集まっています。腸には免疫に関わる細胞も多く、お腹を冷やさずに血の巡りを保つことは、体の働きを考えるうえでも大切です。
私は一年を通して腹巻きをするようにしています。日中は服に響きにくい薄手のものや、インナー一体型、夜眠るときは少し厚手のものなどと、過ごし方に合わせて使い分けると良いですね」

筋肉や脂肪が少なく熱が逃げやすい「三首」は、ストールやアームウォーマー、靴下などで覆います。そのうえで石原先生がすすめるのが、下半身をあたため、上半身は暑さに合わせて調節する「
「暖房の効いた場所で上半身ばかりあたためると、暑いのに足元は冷たいまま、ということがよくあります。自分では暑がりだと思っている『冷えのぼせ』の人も少なくありません。足元は靴下やレッグウォーマー、ブーツなどでしっかりあたため、上は脱ぎ着しやすくするのがおすすめ」

朝晩の冷え込みに備えてカーディガンやストールを一枚持ち、電車や暖房の効いた室内では暑くなる前に脱いで、汗冷えを防ぐ。そんな小さな調節が、寒暖差のある秋を心地良く過ごす助けになります。
あたたかさと着心地を両立する、インナーと靴下の選び方
肌に直接触れるインナーは、あたたかさだけでなく、着心地の良さも大切にしたいもの。石原先生は、肌あたりが気になる人には綿やシルクなどの自然素材をすすめます。
まずは薄手のものを着て、寒さに応じてウール素材のものを重ねたり、首元まで覆えるハイネックを選んだり。厚手のものを一枚着込むより、気温に合わせて調節しやすくなります。

「服と体の間にできたあたたかい空気を、逃がさないことが大切。きつすぎると締めつけによって血の巡りが悪くなりますし、ゆるすぎると温かい空気が逃げてしまう。自分の体型に合うものを選ぶのがポイントです」
足先が冷える日には、靴下の重ね履きも一つの方法です。ただ、重ねすぎには注意を。

「靴下やタイツの上に重ねるなら、ゆとりのあるものを選ぶようにしましょう。また、眠るときも足が冷えるなら、締めつけの少ないものを。足裏に汗をかきやすい人は、足先を出せるレッグウォーマーがおすすめです」
家やオフィスで役立つ、プラスワンの温活アイテム
室内で座って過ごす時間が長いときは、ブランケットや湯たんぽを足して、冷えやすいところをあたためるとより効果的です。
「ひざ掛けが一枚あると、上半身を着込みすぎずに足元をあたためられます。湯たんぽも、眠る前に足元をあたためるだけでなく、日中にお腹や足元をあたためるのに使えますよ」と石原先生。

オフィスではひざ掛けを手元に置き、家でくつろぐときには湯たんぽを使うなど、過ごす場所に合わせて、温活アイテムを取り入れてみましょう。
※湯たんぽを使うときはカバーを付け、直接肌に当てたり、同じ場所を長時間あたためたりしないように注意し、商品の説明書に記載の使用方法に沿ってご使用ください。
秋から続ける温活習慣で、冬をもっと快適に
寒さが本格化する前の秋、体の冷えに気づき、温活を始める良い機会です。羽織りものを持つ、腹巻きをするなど、毎日の装いから自分に合う工夫を少しずつ重ねてみましょう。
「温活を続けていたら、『毎冬できていた霜焼けが、今年はできなかったという方』もいます。寒暖差が激しく服選びが難しい時期だからこそ、服や小物を使って、あたたかく快適に過ごしてほしいですね。この時期の小さな積み重ねが、冬の心地良さを変えてくれるはずです」
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