旅とMUJI
「どこの国へ行っても、いつもと同じものを使うと安心します」| ホホバオイル、トラベル用変換プラグアダプター ほか

2026/07/20
第3回は、国内外で抽象画や立体作品の発表を続ける、山瀬まゆみさん。彼女が旅をともにするのは、いつもの暮らしの延長線上にある、無印良品のアイテムたち。旅を通して得るインスピレーションについて話を聞きました。
(取材と文・山田さとみ 撮影・リン・イーリン)
東京生まれ。幼少期をアメリカで過ごし、ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ&デザインでファインアートを専攻。現在は東京を拠点に、現実(肉体)と不可視のファンタジーの対比を主題とした抽象絵画やソフトスカルプチャーを制作。
Instagram:@zmzm_mayu
親としての葛藤を越え、再び海を渡るまで
カラフルで抽象的なモチーフを用いて、人の内面を表現し続ける山瀬まゆみさん。その活動の場は、ロンドン、シンガポール、韓国、上海、ニューヨークなど、世界各地のギャラリーやアートフェアへと広がっている。
「2年前に子どもを産んでから、最初の1年くらいは、あまり絵に向かう気持ちになれなかったんです。親になった自分とのバランスがうまく取れなくて。それがようやく自分の中に馴染んできたタイミングで、ニューヨークでの個展のお話をいただきました。久しぶりの展示でしたし、アメリカでの発表も初めてだったので、すごく良いきっかけになりました。気持ちの面でも制作と活動のペースが心地よく整って、出産後に初めて子どもと離れて海を渡るという、大きなハードルも越えられました」
その出張での経験を経て、いまでは子どもを連れて家族で旅をする機会も増えたという。
「仕事での出張と違って、家族で行く場合は純粋に楽しみな要素が多いので、準備の段階からわくわくしますね。無印良品にもよく足が向きます。特に渋谷西武は、お店に入ってすぐの1階にトラベル用品があるから、『あ、次に行くときに使えるかも』と自然と目に留まります。そうやって旅に必要なアイテムを少しずつ買い足していくのが好きなんですよね」

どこへ行くにも欠かせない、ポーチの中の定番品
そう語る山瀬さんが、「これさえ持っていけば安心」とポーチにまとめている定番のセットがある。その中身を見せてもらった。
「自宅では大きなボトルに入ったホホバオイルをヘアオイルとして使っているんですが、スタイリングがすごく楽で。ミニサイズも売っているので、気に入って滞在先にも持っていきます。これまでいろいろなメーカーのヘアオイルを試してきましたが、結局ここに落ち着きました。手に入りやすくて、いざとなれば国内なら現地のコンビニで買えるというのも大きいですね。現地のコスメを買って試すこともあるけど、やっぱりいつもと同じものを使うと安心します」


スキンケア用品も同様にコンパクトさを重視し、お気に入りのクレンジングと化粧水は、それぞれ用途に合った小分けボトルに詰め替えて持参しているという。そしてもうひとつ、さまざまな国を訪れる山瀬さんならではの欠かせないアイテムがある。それがトラベル用の変換プラグアダプターだ。
「どこの国に行っても使えるので重宝しています。もうひとつ別のものも持っているんですが、無印良品のものは形がスマートで、平らになるのがいいんですよね。変換アダプターって、結構ゴツッとしてかさばる形状が多いので。家族で行くときは両方持っていきますが、ひとりのときはこちらを持っていきます」

「生活」から「旅」へ。表現の原点となった経験
仕事でもプライベートでも身軽に世界を飛び回る山瀬さん。いまや国境を越えて活動しているが、その原点には仕事を通じた旅の経験が大きく影響している。
「幼少期をロサンゼルスで過ごし、大学はロンドンへ進学し、休みには他の国へ足を伸ばすこともありました。でも、それは旅というより生活の一部だったような気がします。2016年から5〜6年ほど飛行機の機内誌の仕事をして、自然に触れたりアクティビティを体験したりする機会が多くなりました。それが、私にとって初めて意識した、旅らしい旅でした」
その後も、仕事を通じて海外へ赴く機会に恵まれてきた。
「ファッションブランドの通訳を手伝っていて、フランスでの展示会へ行くたびに、そのまま2〜3週間ほど各地を回っていました。ベルリンやストックホルムなど、ヨーロッパのいろいろな場所を巡って。そうやって帰国してから制作に向かうと、やっぱりすごく違うんですよね。絵の制作と旅は、自分の中で深く関わっているのかもしれません」


物事を真に理解する感覚は、旅でしか得られない
具体的に、こうした経験は山瀬さんの絵にどんな影響を与えているのだろう。
「現地の空気を吸ったり、匂いを嗅いだりすると、脳みその周りにちょっと冷たい空気が通る感覚があるんです。体の中にいつもと違う空気が入ってきて、それを全身で感じる。そうやって一度自分の中に入ってきたものを、もう一度外に出すという感覚は、やはり旅を経験しないと得られないものなのかなと思います。たとえば、本を一回読んだだけでは本当の理解はできなくて、自分の中ですごく考えて、噛み締めるぐらい読んで初めて心の中に最後まで残ると思うんです。そうやって物事が『自分の中に入る』という経験をして初めて、自分の絵として表現できる。だから、やっぱり旅に行かないとなって思いますね」


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