愛すべき黄色い誘惑。かぼちゃの新作お菓子の魅力を紹介

無印良品_ほめられかぼちゃのお菓子

おたより/レビュー

2026/08/06

食と料理、おしゃべりが大好きな、エッセイストのマッシさん。
日本に住み始めて20年。イタリア料理も、日本のグルメもこよなく愛するマッシさんに、新作お菓子を試してもらいました。今回は、「ほめられかぼちゃを使ったお菓子シリーズ」です。
(文・写真/マッシミリアーノ スガイ)
マッシミリアーノ スガイ
マッシミリアーノ スガイ
エッセイスト。1983年イタリア北部ピエモンテ州生まれ。2007年に日本に移住し、日伊通訳者の経験を経てからフードとライフスタイルライターとして活動。
日本食文化の面白さや魅力、グルメの紹介などの記事とエッセイを年間約400本執筆。
著書に『イタリア紳士、うまいと叫ぶ』(亜紀書房)などがある。

僕がイタリアにいたころ、かぼちゃはただのスープとして煮込むか、ほかの野菜たちと炒めるか、肉料理の付け合わせとして焼くか、とにかく「野菜として」調理されるだけの存在だった。
そんな僕が、今回の無印良品の新作シリーズを見たとき、思わず「初めまして……!」と言いたくなってしまった。知っているはずなのに、まるで初対面。色だけを見るとかぼちゃを思い出すけど、なんと全部お菓子。
今回は、「ほめられかぼちゃ」という強烈なワードを携えた、僕をあっと驚かせた商品の魅力をお伝えしよう。

無印良品_ほめられかぼちゃのお菓子シリーズ

チップスクッキーバウムスコーンパウンドケーキスティックケーキ、そしてしっとりガレット……。なんと、かぼちゃだけで怒涛の全7種類である。
無印良品の菓子開発チーム、ちょっとかぼちゃに対して情熱を注ぎすぎではないだろうか。

無印良品_ほめられかぼちゃのクッキー

「ほめられかぼちゃ」というネーミングも、実にキャッチーだ。店頭で見かければ「おや?」と手に取らせる力があるだろう。しかし、「野菜がスイーツになるなんてありえない!」という国で生まれ育った僕にとって、猛烈な疑惑が頭をよぎる。「お菓子としての味はどうなんだ?」という素朴な疑問だ。

野菜を主役にしたスイーツは、「体に良いから食べてね」というヘルシーアピールが先行し、甘さ控えめのぼんやりした味に遭遇することがある。お菓子を食べるときくらい、甘みと幸福感に溺れたい。健康に良さそうだからといって、退屈な味で妥協するわけにはいかないのだ。

だが、先に結論を言っておこう。僕の余計な懸念は、一口食べた瞬間に木っ端みじんに打ち砕かれた。まんまとやってくれた、無印良品。このシリーズは、「野菜だし体にやさしそう!」という最高の免罪符を手に、気づけばパクパクと口へ運んでしまう、とてつもない魅力を持っている。もはや「ほめられ」どころか、僕たちの理性を心地良く甘やかしてくれる、愛すべき黄色い誘惑なのだ。

無印良品_ほめられかぼちゃのクッキー、ほめられかぼちゃのパウンドケーキ、ほめられかぼちゃのしっとりガレット

全7種類を片っ端から実食した中で、特に僕の理性を吹き飛ばした3商品を中心に、この底なし沼の魅力を紹介したい。

無印良品_ほめられかぼちゃのパウンドケーキ
ほめられかぼちゃのパウンドケーキ

まず、個人的に最大の衝撃と幸福感をもたらしてくれたのが『ほめられかぼちゃのパウンドケーキ』だ。
パウンドケーキといえば重厚感が前面に出る焼き菓子だけれど、一口食べて目が丸くなった。
生地に練り込まれたかぼちゃ本来のどっしりとした甘みとコクが広がり、パサつき感はゼロ。「かぼちゃでつくるからこそ、この濃密さが生まれるのだ」という必然性を力強く主張してくる。
コーヒーを用意する暇すらなく、気づけば無心で平らげていた。

無印良品_ほめられかぼちゃのしっとりガレット
ほめられかぼちゃのしっとりガレット

次に、良い意味で期待を裏切ってくれたのが『ほめられかぼちゃのしっとりガレット』。
ガレットといえば、ザクザクとした香ばしい歯ごたえを楽しむのが一般的だ。けれど、これは堂々と「しっとり」と冠している。半信半疑でかじってみると、「しっとり」などという生ぬるい表現では足りない。もはや「ねっとり」に近い濃厚さだ。驚くほどホロホロと口の中で崩れ、かぼちゃのやさしい風味がじわ~っと広がる。
まるで飲みもののようにスルスルと胃袋へ消えていってしまった。

無印良品_ほめられかぼちゃのクッキー
ほめられかぼちゃのクッキー

そして、王道にして至高の完成度を誇るのが『ほめられかぼちゃのクッキー』だ。
こちらはサクサクとした心地良い食感とともに、素朴な香ばしさが鼻を抜けていく。甘さは控えめで、「僕、お野菜ですから」というすました顔をしている。
けれど、騙されてはいけない。「あと1枚だけ……いや、野菜だしもう1枚……」と無意識に手が伸び続け、気が付いたときには手元に空の包装袋だけが残されるという魅惑のクッキーである。

もちろんほかのメンバーも抜かりはない。カリカリ食感が止まらない「チップ」、安定の満足感を与える「不揃いバウム」「不揃いスコーン」「スティックケーキ」も、かぼちゃのポテンシャルを遺憾なく発揮している。しかし、まずは前述の3点から攻めることを強くおすすめしたい。

スーパーで買えばただの「料理の材料」であるかぼちゃが、お菓子の衣装をまとった瞬間、芋や栗をも脅かすヒーローへと化ける。気づけばお腹も心も満たされている「ほめられかぼちゃ」シリーズ。今週末のティータイム、あなたもこの黄色い誘惑にはまってみてはいかがだろうか。

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