ゆらぎに寄り添う。養生日和
日照時間の減少による“気分の落ち込み”をケアする暮らしの工夫

2025/10/15
取材と文・高浦彩加 撮影・藤井由依

フィトテラピースクール「le bois Phytotherapy School (ルボアフィトテラピースクール)」代表。日本における植物療法の第一人者。20代前半にダストアレルギー気管支喘息を発症した事をきっかけに、フランス国立パリ第13大学で植物薬理学を学ぶ。帰国後はサンルイ・インターナッショナルを設立し、植物療法を活用したアイテム制作やセミナー活動を展開。日本での植物療法の普及に尽力している。主な著書に『自然ぐすり』(ワニブックス)など。
Instagram: @atsuko1705
無気力や落ち込みを感じるときは、香りの力を借りて
何だか気分が沈んだり、無気力に感じたりするのは、一年のうち日照時間が減少していくこの季節特有の変化。そんなときは、アロマの力を借りて気持ちを整えましょう。
「香りは手軽にマインドへの変化をもたらす事ができるツール。日中やる気が出ないときには、不安な気持ちを落ち着け、集中力を高めるユーカリやペパーミント、ローズマリー、ラバンジンといったリフレッシュ系のアロマを活用しましょう。

特にペパーミントは深呼吸をしたような爽快さを感じられ、活力を与えてくれるのでおすすめです」
置き型のルームフレグランスやスプレーを使えば、ふわりと部屋に漂う香りが気分の切り替えをサポートし、アロマストーンをデスクに置いてエッセンシャルオイルを数滴垂らせば、勉強や仕事の合間のリフレッシュにも◎。

ティッシュに垂らしてハンカチなどに包んで持ち歩けば、オフィスや出先でも気持ちを整える事ができます。
「忙しくて呼吸が浅くなっているときでも、香りがあると、自然と深く息を吸えるので、張りつめていた気持ちがふっと軽くなり、“やってみよう”という気持ちが少しずつ戻ってくるはず。自分に合った香りを探してみてください」
気分が落ち込みやすいときこそ「質の良い睡眠」を
気持ちのゆらぎを感じるときこそ、夜の休息を十分に取り、心身を回復させる事も大切。香りは気分をオフモードに切り替え、休息の質を高めるのにも役立ちます。
「一日の終わりには、鎮静作用のあるウッディ系のサンダルウッドやシダーウッド、地に足がついたような安定した状態へ導く“グラウンディング”の作用があるパチュリ、副交感神経を優位にしてくれるミュゲなどをセレクトしてみてください」
また、秋の夜長には肌触りの良い寝具も欠かせません。
「私たちはレム睡眠時、寝返りを多く打っていて、寝返りには筋肉の緊張をほぐし、日中に生じた体の歪みを整える効果があります。
両面やわらかい素材でできているブランケットや毛布、掛ふとんを選ぶ事で、寝返りで姿勢が変わってもやわらかな素材に触れ続け、寝返りの度に力が抜けて、マッサージされているような感覚を得る事ができます。

やがてノンレム睡眠で寝返りが止まり、心地良い布に包まれながら、安心して、穏やかな眠りへと導かれるでしょう」
秋の夜長は、心と体の調子を整える大切な時間。香りや寝具を工夫し、気持ちのゆらぎにやさしく寄り添いながら、季節の移ろいを楽しみましょう。
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