タイプ別に解説。気象病の頭痛を和らげる漢方ケア

梅雨の気象病頭痛のケア

おたより/ゆらぎに寄り添う。養生日和

2026/06/15

季節の移ろいや、年齢を重ねる中で、日々変わりゆく心と体。そんな誰もに訪れる“ゆらぎ”に耳を傾け、健康をサポートし、“感じ良い”暮らしへと導く養生の知恵を、無印良品からお届けします。今回は、梅雨に起こりやすい「気象病」頭痛の原因とケア方法をタイプ別に紹介します。
取材と文・高浦彩加 撮影・藤井由依
織田枝里子
織田枝里子(薬剤師・漢方生薬ソムリエ)
良品計画 食品部商品開発 お茶担当。総合商社に新卒入社し、過労とストレスで身体を壊したのを機に漢方と出合い、漢方を学ぶために薬学部に再入学。生薬研究室で薬草を栽培しながら研究に励み、漢方や薬草をもっと世の中に広めたいという思いから、現職に至る。

頭部のむくみが原因。梅雨に頭痛が悪化する理由

梅雨時期は、頭痛やめまい、だるさ、むくみなどの不調を感じる人が増えます。こうした気圧や温度、湿度などの気候変化によって起こる不調は「気象病」と呼ばれ、人によっては症状の重たさで日常に支障がでる場合も。

「東洋医学では、気象病は体内の“水”の巡りと深く関係していると考えます」と話すのは、漢方生薬ソムリエの織田枝里子さん。

東洋医学では『気・血・水(きけつすい)』という3要素が人体を構成すると考え、気はエネルギー、血は血液やそれに含まれる栄養、水は水分代謝に該当し、この3つがバランス良く巡っている状態を健康だと捉えます。

漢方の気血水の説明

「本来、水分は必要な場所へ巡って体内を潤し、不要なものは汗や尿として排出されます。

しかし、胃腸が弱っていたり、筋力が少なかったり、冷えや疲れが続いていたりすると『水』を十分巡らせることができず、余分な水分が体内に溜まったり、部分的な滞りによる『水』の偏在が発生。

結果として、『水滞(すいたい)』という状態になり、『気象病』の症状が表れます

梅雨は湿度が高いうえ、気圧の低下で、筋肉に含まれていた水分が漏れ出やすくなることで、一年の中でも特に『水滞』になりやすい時期。『気象病』に代表される頭痛の症状は、頭部の『水』の滞りによって起こると織田さんはいいます。

「気象病による頭痛は、“頭蓋内のむくみ”と漢方では捉えます。まずは頭部や耳まわりのマッサージをして巡りを促したり、体をあたためるのが基本の対処法。

無印良品のほぐしテトラで頭部をほぐす女性

そのうえで、もともと水分代謝が得意ではない人や、生活習慣によって水分代謝が乱れている人、生理痛と連動して頭痛が悪化する人など、同じ頭痛でも体質や生活習慣によって原因は異なるので、自分に合った対処法や漢方薬をプラスしてみましょう」

あなたはどのタイプ? 原因別の気象病頭痛3つ

同じ気象病でも、不調の出方やタイミングには個人差があります。

「市販の頭痛薬で一時的に症状を抑えることもできますが、漢方では『なぜ不調が起きているのか』という体質などの背景から捉え、心身を整えていきます。自分の体質に合わせて、日常の過ごし方を少し見直すだけでも、気象病はラクになることがありますよ」(織田さん)

① もともと巡らせる力が弱いタイプ

生活習慣に大きな問題はなくても、もともと『水』を巡らせる力が弱い人もいます。冷え性で、疲れやすく、むくみやすい。そんな人は、体質的に気圧変化の影響を受けやすい傾向が。

「このタイプの方は、雨の日や台風前になると、頭痛やめまいが悪化しやすいです。『まだ大丈夫』と我慢してしまうと症状が長引くこともあるので、『きそうだな』と感じた段階で早めに漢方薬を飲むなど、先手の対策が◎

気象病の症状がひどいときは、ソファなどに横になって頭を下げ、無理せず休息をとりましょう。

気象病の頭痛のケア ソファに横になる女性

漢方薬では、体内の余分な水分を排出しながら、『水』の巡りを整える『苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)』がおすすめ。外出時に持っておき、“お守り”のように早めに飲んでみてください」

② 冷たいものの摂りすぎタイプ

もともと体力や筋力はあり、水分代謝機能が高いにもかかわらず気象病の症状がある場合は、冷たい飲みものや食べもの、冷房などによって胃腸が冷えていたり、暴飲暴食、寝不足など生活習慣の乱れで胃腸が弱り、水分代謝機能が落ちている可能性が

「特に本格的に暑くなり始める6月は、冷たいものを摂取する機会が増えます。胃腸が冷えた状態が続くと、『水』を巡らせる働きが弱くなり、気象病を誘発しやすくなるんです」

このタイプの方は、「胃腸をあたため、生活リズムを整えるだけで改善することが多い」と織田さん。まずは不摂生を見直し、冷たい飲みものを常温や温かいものに置き換えたり、生姜を使ったスープや味噌汁を取り入れるなど小さな工夫を。

「漢方薬では胃腸を温める『桂枝人参湯(けいしにんじんとう)』がおすすめです」

③ 月経周期と連動するタイプ

生理前になると頭痛が出る。雨の日と生理が重なると特につらい。そんな人は、『水』に加えて、『血』に関するトラブルを抱えている可能性が高いといいます。

「生理痛と連動して気象病の頭痛が悪化する場合、基本的に“生理痛が重たい”という不調が強くベースにあるので、このタイプの方は『水』のケアよりもまず『血』のケアを優先します。

おすすめの漢方薬は血(けつ)を補って血行改善を促す『当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)』。体をあたためる効果も期待できます。

気象病による頭痛に効果的な漢方薬

しばらくして、症状が少し落ち着いてきたら、『水』の巡りを整える『苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)』へ切り替えていくのも良いでしょう」

自分がどのタイプかわからない時は……

気象病は、一つの原因だけで起きているとは限りません。冷えや胃腸の弱り、疲労、月経周期など、複数の要因が重なっていることもあります。

「『自分がどのタイプかわからない』という場合には、水分代謝を整える代表的な漢方で、比較的幅広いタイプに使われている『五苓散(ごれいさん)』をまずは取り入れてみてください」

また、水分を巡らせる力には、筋肉が大きく関係しています。

「筋肉には水分を保つ働きに加え、全身の巡りを助けるポンプのような役割が。『水』、そして『血』に関する不調を抱えている方は、簡単な運動をくらしに取り入れてみると、体調が乱れやすい季節の変わり目が少しずつ楽になると思いますよ」

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