ゆらぎに寄り添う。養生日和
専門医に教わる。気圧変化と寒暖差に負けない気象病対策

2026/09/24
取材と文・山本加奈 撮影・藤井由依
くでけん・つかさ。せたがや内科・神経内科クリニック 院長。医学博士。「自律神経失調症外来」「気象病・天気病外来」などの患者のニーズに応えた専門外来を立ち上げ、数多くの患者を診察。わかりやすい解説がSNSやメディアで話題となりメディア監修も多数。近著に『自律神経 これ1冊ですべて整える』(東洋経済新報社)『不調がデフォな私たちの背骨リセット』(主婦と生活社)『気象病ハンドブック──低気圧不調が和らぐヒントとセルフケア』(誠文堂新光社)など。
秋雨や台風の季節に。セルフケアで毎日を軽く
秋雨前線の停滞や台風の発生が増えるこの季節は、頭痛やだるさなど、天候の変化に伴って体調が崩れがち。こうした不調は、一般に「気象病」と呼ばれています。
気象病とは、気圧や気温、湿度などの変化で起こる、さまざまな体の不調のこと。なかでも、特に影響を受けやすいとされているのが「気圧の変化」です。
私たちの耳の奥にある「内耳」には、気圧の変化をキャッチする働きがあります。内耳で受け取った情報は、前庭神経を通って脳へ伝えられます。
気圧が急激に低下すると、内耳が脳に過剰な信号を送り、それに自律神経が反応することでバランスが乱れ、頭痛などの症状につながります。
長年にわたり、気象病外来を行う久手堅先生は「普段から耳鳴りやめまいを起こしやすい方、乗り物酔いをしやすい方は、気圧の影響を受けやすい傾向があります」と話します。
気象病かどうかを知る、2つのセルフチェック
シンプルなセルフチェックで、気象病になりやすいかどうかを確認できます。次の2つの項目をチェックしてみましょう。
□天気が悪いときに、体調や気分の不調を感じる?
□雨が降る前や天候が悪化する前に、何となく変化を感じ取れる?
「どちらか一つでも当てはまる場合、約8割の確率で、その不調は天気の影響を受けていると考えられます」。久手堅先生は、この季節を心地良く過ごすためには「適切なセルフケアが大切」と話します。
「天気予報や、気圧予報を知らせるアプリなどを活用し、早めに備えるのがポイント。やるとやらないではつらさががかなり変わってくると思いますよ」
気圧による不調をやわらげるセルフケア
気圧の変化に伴って起こりやすい不調のひとつが、頭痛です。頭痛を感じたときは、こめかみのあたりを指でやさしくマッサージしてみましょう。

また、「食いしばり」がある人は、あごまわりの緊張が頭痛を悪化させることもあります。思い当たる場合は、あごを指でやさしく押しながらほぐすのも頭痛の軽減につながります。
そして気圧の変化を感知する耳まわりをやさしく刺激するのも、おすすめのセルフケア。「耳まわりの血流が低下すると気象病が悪化しやすくなります。あたためたり、円を描くように耳全体をゆっくり回したり、横に引っ張ったりして血流を促し、気圧の変化に備えましょう」

いつでも温度調節できるアイテムの備えを
気圧と並んで、気象病の原因になりやすいのが「寒暖差」です。「1日または1週間で7℃以上の気温の変化が生じると不調を感じやすくなります」と久手堅先生。
周囲の環境の変化に応じて、体温を一定に保とうと働き続ける自律神経に負荷がかかると、だるさや冷え、胃腸の不調につながります。倦怠感や冷えを感じるときは、体をあたたかく保ち、自律神経への負担を軽減しましょう。
「周りの気温を変えることはできませんが、着るものを工夫することで、簡単に対策できます」
特に首・肩まわりは、冷えにつながりやすい部分。サッと羽織れるカーディガンやストール、ネックウォーマーなど、着脱しやすいアイテムを用意しておくと、気温の変化に合わせて調整できます。

また、内臓や下半身に強く冷えを感じる場合は、腹部や仙骨(骨盤の中央にある骨)をあたためる冷え対策を。一方、のぼせを感じるときは、首まわりや脇などを冷やして調整しましょう。
「セルフケアを日常的に行うと予防につながり、症状が出たときにはやわらげてくれます。気象病対策アプリなどを活用し、体調が崩れやすいタイミングを把握しておくと対策しやすくなります」
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