心に余白を生む、整理と収納
「家族の“今”に合わせて、収納も変えていく」美保さん

2026/10/06
(取材と文・竹村真奈 撮影・ふぁま)
夫と2人のこどもと、フルリノベーションしたマンションで4人暮らし。家族の成長に合わせて収納や家具の配置を見直し、それぞれの「好き」と使いやすさを大切にした住まいづくりを楽しむ。
Instagram:@tmte_ie
つくり込みすぎず、「変えられる家」にするために、スケルトンの状態からつくったというリノベの住まい。
「リノベをしたとき、こどもたちがまだ小さかったので、これからくらし方がどんどん変わっていくだろうと思って最初から細かな収納を造作するのではなく、あえてシンプルな“箱”のような空間にしました。つくり付けの収納を増やすより、余白と可変性を残しておきたかったんです。実際、こどもたちの成長とともに、家の使い方は少しずつ変化してきました。幼稚園に入り、小学生になり、自分でできることが増える。そのたびに“今、どこに何があったら家族が動きやすいか”を考え、収納場所を見直しています」

収納を考える起点は、「ここに何が入るか」ではない。
「朝、ここが混雑する、これを取りに行くのが面倒、いつもここで着替えている。そんな毎日の小さな行動や会話から、不便の理由を探します。“収納をどうする?”という話から始めるのではなく、“最近、朝の支度が大変だよね”みたいな会話から、“じゃあ、ここに置いたらもっとスムーズになるかな”と考えていきます。家が整っていると、やること自体が少なくなって、スッとしまえる。そうすると、その次のことにもすぐ動けます」
心に余白があるくらしとは何でしょう。
「家の居心地がいいことだと思います。ただし、その“居心地のよさ”は人によって違い、家族の成長によっても変わります。自分が何を好きなのか。どんな場所ならリラックスできるのか。今の家族には、どんなくらし方が心地いいのか。それを知り、その時々に合わせて持ちものや収納を変えていく。生活が変わったときに、それを受け止めてくれる家だといいなと思っています」
1. 使う場所を決めこまない

「“これはキッチン用”これは“洗面所用”と決めなくても、違う場所で使えるものが好きですね」。玄関の棚に並ぶやわらかポリエチレンケースも、以前は別の場所で使っていたもの。収納を見直すときは、新しく買い足さなくても、家にあるケースを移動させるだけで解決することも。「用途を固定せず、今、必要な場所で使うことを大切にしています」
2. 家族の会話から、住まいを見直す

こどもの成長とともに、持ちものも趣味も生活動線も変わります。家族の会話から小さな不便を見つけ、そのたびに住まいを見直す美保さん。「衣類の出し入れひとつとっても家族の成長に合わせて変化していきます。これからも、みんなが居心地よくいられるように、あまり凝り固まらずに変えていきたいです」
3. 使う場所に置けば、支度もスムーズ

パジャマやタオルなどはまさに使う場所に収納することで、「持ってきて」「用意して」というやりとりが減ることも。「収納をどうにかしたいときは、まず無印良品を見に行くことも多いです。商品を見ているうちに使い方やアイデアが浮かぶことも」(写真の『スチールユニットシェルフ・スチール棚セット・ミニ・グレー』は終売。『ライトグレー』が販売中)
4. 場所と役割を変えながら、長く使う

入居当初から約7年間使い続けているスタッキングシェルフ。寝室やリビングへと、その時々のくらしに合わせて場所や役割を変えてきた。必要な場所へ移せる収納だからこそ、家族の成長にも柔軟に対応できるそう。
5. 自分で片付ける方法を、一緒に探す

最近は娘さんから「ここにラベルをつけてほしい」と希望されることも。「私が全部決めても、本人が使いにくかったら続かないですよね」。長い休みの前後には親子で“いる・いらない大会”を開き、迷うものは一時保管しています。
6. それぞれの「好き」を大切にする

家族それぞれに、好きなものを楽しめるスペースを用意。「ガチャガチャの景品でも、見てうれしくなったり、“学校がんばろう”と思えたりするなら、その子にとっては大事なもの。心の潤いになるものは、増えてもいいと思っています」
7. 中は「ポンと入れる」で大丈夫

引き出しや収納ケースの中は、細かく仕切らず「ポンと入れればOK」。「きれいに並んでいなくても、ここを開ければ全部ある、とわかれば十分です。毎日無理なく戻せることを優先し、しまうときの手間を少なくしています」
8. 好きな素材と色で、見える収納を整える

キッチンは、扉のないオープン収納が中心。「食器や調理道具は木、ガラス、白など、好きな素材や色を選び、出したままでも空間になじむように。食品パッケージなどはケースに収め、見えている場所は整えたり拭いたりしやすくしています」
9. ものの多寡より、好きなものがあること

こどもたちに大切なものがあるように、美保さんにとって食器は心を潤してくれる存在。「ものを少なくすることそのものを目指すのではなく、好きなもの、必要なものがあることを大切に、自分たちらしい住まいを整えています」(写真は『ガラス豆鉢』で終売。現在は『ソーダガラス』が販売中)
10. 散らかっても、すぐに戻せる家に

「いつも完璧に片付いていなくても、すぐに戻せれば大丈夫」。収納をできるだけ簡単にし、生活の変化に合わせて動かしていく。美保さんの家には、家族の今を受け止め、これからの変化も受け入れられる余白があります。
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