めぐるものがたり 読み物|集めて売る人 「服の命をつなぐ現場」

無印良品では、現在684店舗※で衣服の回収を行ない、新たな息吹を吹き込まれたReMUJIの服の販売店も44店舗※まで増えてきました。その両方を行なう店の一つが、東京・新宿靖国通り店です。そこで働くスタッフは、「回収された服からは、持ち主だったお客様の想いが感じられます」と話します。

「大切に着ていたお気に入りを、わざわざお店に足を運んで持ってきてくださるのはうれしいことです。『この服が何かに生まれ変わるんですよね』と期待を込めた言葉をかけていただくこともあります。10年、20年前の服をお預かりすることもあり、無印良品の服の丈夫さにも改めて気付かされます」

店頭に並ぶReMUJIの服は一点もので、買い物はまるで宝探しのよう。新入荷を目当てに、毎週通ってくださるお客様もいるのだとか。

「入荷のたびに表情が違うものが揃います。だから売り場は、まるで生き物のように変化するんですよ」

  • 回収ボックスの大きさや形は店舗によって異なりますが、このサインが目印。
  • 回収された服はリユースできる状態かどうかスタッフが丁寧にチェック。
  • 回収された服は、染め直しの可能性があるか素材のチェックも欠かしません。
  • ReMUJIの服に生まれ変わって店頭に届いた服。箱から出して検品します。
  • 染めムラや生地の傷みがないかどうか、一着一着確認。
  • 店頭のラックに並んだ「染めなおした服」。

一期一会の“宝探し”を楽しんでほしい

スタッフは日々、陳列や配置を工夫しています。たとえば、ReMUJIの服を探すお客様は1着ずつを見るので、なるべくゆったり並べるのが新宿靖国通り店のこだわりです。また、商品の入荷はスタッフにとっても楽しみなもの。箱を開けるときの高揚感が、売り場にも反映されます。

「毎回、『こんなデザインあったんだ!』『これかわいい!』という発見やときめきがあります。『染めなおした服』も、すべて同じ色に見えるけれど、実は一つひとつ表情が違いますし、並べていて面白いですね。どれも個性があって愛着が湧き、より魅力的に見えるように陳列したくなります」

店舗スタッフは、回収された服を最初に仕分ける人でもあります。状態によっては、リユースではなく資源としてリサイクルに回すことも。

「基本的には、まず自分がお金を出して買いたいかどうかが判断基準になります。ReMUJIの服を購入するお客様には『このクオリティの服がこの値段で買えるなんて』と喜んでいただけることが多く、だからこそ、責任を持って状態が良いものを選別しなければいけない。厳しい目で見極めます」

誰かが大切に着た服を、次の人に引き継ぎ、服の命をつなぐ。その現場を目の当たりにできるのは、スタッフにとって特別な経験だと言います。
「ReMUJIの服の取り扱いが多いからという理由で、この店舗を志望して働いている人もいます。店舗スタッフとしてこの取り組みに関わっていることは喜びですし、一期一会の楽しさを、お客様と同じように味わっています」
※2025年9月現在の展開店舗数です

  • 「染めなおした服」は同じ「ネイビー」でも、一着一着微妙に色のニュアンスが異なります。
  • こちらは店頭に並ぶ「洗いなおした服」のデニムパンツ。
  • 「つながる服」の一角は多彩。すべて色柄が異なります。
  • 「染めなおした服」が並ぶ一角は青のグラデーションで染まります。
  • ReMUJIの服は、国内44店舗(2025年9月現在)で展開しています。
  • シャツやTシャツだけでなく、ニット製品も「染めなおした服」に並びます。

ReMUJIの話 | 服の命をつなげる喜び