めぐるものがたり 読み物|コラム 「繕いの技で楽しく永く愛用し続ける」

気をつけて着用していても、思いがけずシミやほつれができてしまうことがあります。大事にしていればしているほどショックは大きいもの。でも、繕いを施せば、まだまだ愛用できるかもしれません。

布を繕う文化は、世界中のあちこちにあります。近年は、日本の刺し子やイギリスのダーニングなどに挑戦する人も増えてきました。インドには、ラリーキルトとも呼ばれるカンタがあります。木綿などの古布を重ねて刺繍したものです。韓国のポジャギは、着古しや切れ端をつなぎ合わせて作った、包む布です。

世界中にこうして繕いの文化があるのは、古来、布は大変貴重なものであり、多少の穴や汚れで捨てるにはもったいなかったこと、また、大変な手間と時間をかけて作られたものへの敬意の念があったからではないでしょうか。現代においても、誰かの手によって作られたものを大切に永く使いたいという思いは、変わらぬ普遍的なものです。

暮らしの中から生まれた伝統の技で繕ったり補ったりすることは、とても楽しいことでもあります。お気に入りの服にひと手間加えることでより自分らしい一着になり、着るのがうれしくなります。自身で繕いを施した服は、自分の体の一部になると言っても過言ではないかもしれません。

そんなふうに楽しく手を加えながらものを永く使い続けるということは、当然、環境負荷を軽減することにもつながるはずです。

新しいものを手に入れる喜びと同じくらい、永く使い続けることにも喜びがあります。そして、後になってみないと味わうことができないものではありますが、お金では買うことのできない豊かさを手に入れるということでもあるのではないでしょうか。

無印良品では「永く使い続ける」ワークショップを開催します。詳細については、こちらからウェブサイトをご確認ください。