合同会社COCOSATOの代表・阿部彩人さんは、酒田市の平野部出身。高校卒業後に東京の大学に進学し、大学卒業後はそのまま東京でIT・Web・エンターテインメント業界の会社に従事。19年ほど都内で生活する中で、初めて気づかされたのが、地元・山形県庄内地方の素晴らしさでした。
鳥海山や庄内平野の風景・食・庄内弁の響きなど、高校卒業までは当たり前だと思っていた全てが、実は特別なものなのだと知ったのです。仕事の傍ら、 庄内弁ドラマ「んめちゃ!」の企画・制作を行い、庄内の食文化を味わえるライブイベントを渋谷で開催するなど、庄内の魅力を伝えるためにプライベートな活動を行ってきました。
その後、いつか酒田に戻って暮らしたいという思いが募る中、地域おこし協力隊という制度を知ります。自分の経験を地元に活かせるのではないかと思い、酒田市の地域おこし協力隊に応募。2108年5月から酒田市八幡地域・大沢地区の地域おこし協力隊に着任し、同地区に移住しました。
大沢のシンボルである、住民が草刈りで作った大沢「大」文字の活動を発信しながら、大沢の皆さんと一緒にLEDソーラーライトで「大」文字のライト点灯を企画し、新たな夏祭り『やわた大沢「大」文字まづり』を立ち上げ毎年8月に開催しています。
協力隊として移住してきた大沢地区での暮らしで感じたのは、里山の環境で自生する、山菜やじゅんさいのとびっきりのおいしさ。しかし、それらはこれまで主に自家用での採取にとどまっており、地区にお金が落ちる仕組み作りがほとんどできていませんでした。急激な人口減少と高齢化が進む大沢地区ですが、地区内の豊かなめぐみを活かして持続可能な地域を作っていきたい。そんな思いのもと、協力隊の任期3年間が終わった後に設立したのが、里山エンターテインメント企業「合同会社COCOSATO」です。並行して大沢地区の集落支援員に着任するとともに、全世代が「わぐわぐ」しながら「おもしぇぐ」暮らせる、世界最先端の「超高齢化先進地域」を目指して活動しています。
合同会社COCOSATOでは、大沢の地域資源を生かした特産品作りやキッチンカー、じゅんさい採りなどの里山体験、動画制作・イベント企画などの事業を展開しています。みんなの「心のふるさと」(=ココサト)を作り続けるために、庄内への「もっけだの」(=ありがとう、恐縮です)という感謝とともに日々を紡いでいます。