日本有数の桃の産地であり、西日本最大の産地とも言われている紀の川市。春には畑一帯に桃の花が咲き甘い桃の匂いが香る、その様子は桃源郷とも呼ばれています。
なかでも有名なのが『あら川の桃』。紀の川市桃山町で採れた桃にのみ、この名前が付きます。あら川というのは桃の生産が始まった1782年、当時の安楽川(あらかわ)村という地名に由来しているのだとか。時が経つにつれて桃の生産が盛んになり、安楽川から桃山へと地名が変わったのだそうです。
今回訪れた畑には約60本の木が植わっていて、約2万個の桃がなるのだそうです。これらの収穫は全て手作業。ハサミや機械を使わない理由は、少しでも品質の良いおいしい桃を届けるためです。
ほぞが重要。ほぞとはりんごや梨にも見受けられる、へたのような部分のこと。これが付いていることも、桃の品質を判断する基準のひとつなのだそうです。12月初めから2月下旬までは枝の剪定、3月上旬からは摘蕾(てきらい)をします。エネルギーの浪費を防ぎ、より良質な桃をつくることに繫がるのです。
収穫された桃の95%はそのまま青果として、残りの5%は近隣の農家さんの規格外品の桃と一緒に、果汁100%ジュースやピューレなどの加工品へと生まれ変わります。「昔は規格外のものは水路に捨てられることも多かったんです。見た目が少し劣るだけで味がダメなわけではない、捨てらている時代が長くありました。
数年ほど前から続いている桃の加工品づくり。繊維が多い残りかすの部分はシーズンで約12トンもの量になります。「肥料や加工品として活用できないかと思っているけど、難しくてね」とつぶやく高平さんに「どうにか活用したい。どんなことならできるやろ」と一緒に考え辿り着いた答えがここに誕生したのです。