青森県の南西部に位置する西目屋村は、白神山地を有し、標高1000メートルにもいたる山々に囲まれた山峡の場所にあります。人口わずか1400人にも満たないこの村は県内では最も小さく、村民たちは農業や林業などを営んでいます。その中で30人程度の村民たちは、山々の恵みとも言える山菜を売ることを生業にしています。
米澤昭也さんもその一人。山の雪が解け始める4月あたりから白神山地や周辺の山々に入り、雪が再び積もる10月頃まで山菜の収穫を続けると言います。「冬以外の季節であればさまざまな山菜が採れる。その数は20種以上は少なくともある」と自慢げに語ります。
「白神山地で採れる山菜の強みは雪だ」と話す米澤さん。山菜は標高差や場所の寒暖差によって順番に溶けていく雪の下から生えてきます。山の奥では7月、8月まで雪が残るところもあり、そういった場所からも山菜が顔を出します。
収穫は天候や季節によって異なりますが、朝3時には出かけるという米澤さん。道路のあるところまでは車で移動し、そこから先は徒歩で2~3時間かけて山奥まで進みます。野生のクマやサル、シカといった動物たちと遭遇することもよくあり、「山菜採りは動物たちとの競争なんです」と米澤さんは笑います。
収穫した山菜はその日のうちに出荷をするがモットーだという米澤さんは、昼過ぎあたりには帰る支度をします。「山菜は鮮度が大事。できるだけ新鮮なもの食べてもらいたい」と、夕方までには荷造りし、その日のうちに出荷します。