
約1.6ヘクタールの広大な敷地で、試験栽培などを含め約30種類のぶどうを栽培している上ノ原果樹園。大正時代に、先々代が開園した当初より現代に至るまで、「自然な樹形・伝統的な栽培方法・減農薬・手間を惜しまず・有機肥料のみ使用」の5つを守り通しています。
小ぶりの房に大きな粒を付ける栽培法も上ノ原果樹園流。そうすることで手入れが行き渡りやすくなり、結果、味が凝縮されたぶどうに仕上がるといいます。
「糖度が高いだけが美味しいぶどうじゃないと思うんです。香りや酸味、渋味などに加えて甘みも感じるぶどうが、僕が目指しているぶどうです」

そう話すのは、上ノ原果樹園3代目の成澤直さんです。もともと建築設計の仕事をしていた成澤さんは、家業を継がない不届き者にはなりたくないと、29歳の時に実家に戻りました。建築業界ではISO14000といった環境マネジメントの国際規格への登録が盛んで、農業にも同様の基準がないものかと、戻るやいなや探し始めたそうです。
ちょうどその頃、日本GAP協会が農場審査・認証制度の「JGAP」をスタートさせるという時期で、成澤さんはすぐに取り掛かり、帰郷から2年後にはJGAP認証を取得します。今ではJGAP指導員の顔も持つ成澤さん。「対外的に“食の安全・環境保全に取り組む農場です”と言ってもらえた方が、安心感が増しますよね」と話します。

「子供たちが思いっきり畑で遊べて、安心して食べられるぶどうをつくりたい」という言葉の通り、休みともなると3人の子供たちと愛犬もぶどう畑を走り回っているそうです。それぐらい農薬も削減し、丹精込めてつくられたぶどうはまさに至極の一房。是非、ご賞味ください。