大内さんは小高区の農家の長男として生まれ育ち、一度は家業の農業に従事するものの、植木事業を経たのち、介護事業などを立ち上げます。事業が軌道に乗り始めたころ、東日本に大きな爪痕を残した大震災が起きます。
南相馬市小高区は原子力発電所の20km圏内に該当し、5年もの間住民の立ち入りができませんでした。
2016年にようやく避難指示が解除となり、やっとの思いで戻った自宅には、草が生い茂り、土地は荒れ果てていました。その姿を見た大内さんは「この土地をもう一度利用できるようにしなければ」と再び農業を始めました。
そして2018年、「露茜」に出会います。露茜の記事を読んだことから、小高町の花は梅であったことを思い出し、露茜を栽培すれば新たな収入源となり、地元の復興に貢献できるのでは考えた大内さんは、露茜の苗を探し始めます。
苗探しや栽培も、苦労の連続でしたが、大内さん想いと技術が実を結び、今では16,000本の樹を育てるほどになりました。
大切に育てた露茜は、果皮色を見ながら1粒1粒手摘みしで収穫し、追熟作業、冷凍熟成等と、手間暇かけて丁寧につくっています。
露茜は他の品種に比べて味わいがまろやかで糖度が高いため梅酒や梅ジュースなどの加工製品に向いており、梅酒や梅ジュースにすると、その鮮やかな紅色が際立ちます。復興の旗印として紅く実った梅を、是非お楽しみください。