2023年にゼロからいちご農家になった「いちごびより」の満嶋夫妻。夫の敏行さんには「いつかアスパラ農家になりたい」という長年の夢がありました。一方の妻・理恵さんは大のいちご好き。毎年必ずいちご狩りに何度も行き、いろいろないちごを食べてきました。
そんな折、理恵さんの弟がいちご農家になり、有機質肥料を使ったいちごを栽培するように。そして、弟さんが育てたいちごを食べて衝撃を受けたそう。「今まで食べてきたいちごとは別物!味が濃くてなんておいしいの!!」と。
栽培方法が違うだけでこんなにおいしいいちごができることに驚きつつ、なぜ有機質肥料で栽培するいちごにこれまで出会ってこなかったのか。疑問を持って調べていくと、化学合成肥料を使った栽培方法に比べてコストがかかることや収穫量が少ないこと、とにかく手間がかかることなどの実情が見えてきました。
それでも自然の恵みがたくさん詰まった、有機質肥料で栽培したいちごの味が忘れられず、「このおいしさをもっと多くの人に知ってもらいたい」と自分たちでいちご農家になることを決意したといいます。
2年間、有機質肥料のいちご栽培を学び、晴れていちご農家になった敏行さん。「自分でやったことがきちんと結果として出てくるのが農家のやりがい。やり方を変えれば植物が応えてくれますから」と話します。
「化学合成肥料も自然界に存在する無機物を原料にしているので、体に悪いわけではないんです。ただ、イメージでいうなら人間にとってのエナジードリンクのようなもの。植物に過度の無理をさせてしまうんです」と理恵さん。
化学農薬、化学合成肥料にできるだけ頼らずに、油粕や米ぬかなど植物性の有機物、鶏糞、魚粉、牡蠣殻など動物性の有機物を配合した有機質肥料を土に入れることで、土中の有用微生物を活性化させ土壌環境を整え、土から元気にします。そして、土から栄養を吸収して、ゆっくりストレスなくいちごが育つことで、食感よく、味が濃くて旨みのあるいちごに育ちます。
「本当においしいいちごを食べたことってありますか?暖かく心穏やかになれる小春日和のように『いちごびより』のいちごを食べて、暖かく幸せな気持ちになってもらいたい。ひと口食べると自然と笑顔がこぼれてしまう、甘くて安心して食べられるおいしいいちごを全国に届けられたらうれしいです」と夫妻はいちご栽培に懸ける想いを語ってくれました。