干し芋文化を守り、次につなぐ。【小池清嗣商店】の産地に根差した挑戦

干し芋文化を守り、次につなぐ。【小池清嗣商店】の産地に根差した挑戦

諸国良品

2025/11/01

全国の干し芋生産量の約9割を占める茨城県。なかでも、ひたちなか市、東海村、那珂市の3地域を中心としています。そんな干し芋の産地として知られる茨城県ひたちなか市で、さつまいもの栽培から干し芋の加工・販売まで一貫して行っているのが「株式会社小池清嗣商店」。もともとは干し芋問屋として創業し、2010年より自社農園での栽培も開始しました。土地の特性と原料を理解したうえで、品質の安定と再現性のある干し芋の生産に取り組んでいます。

干し芋の生産が特に盛んな地域として知られるひたちなか市は、太平洋に面し、水はけの良い土壌がさつまいも栽培に適しているといいます。また、火山灰質の土は酸化鉄やミネラル分を多く含み、甘いさつまいもを育みます。
さらに夏の浜風、冬の冷たく乾いた海風も、天日干しの際にさつまいもを乾きやすく、かつ糖化を促す環境を作り出してきたといわれています。

「このあたりでは冬季は晴天が続き、寒暖差が大きいため、干し芋の乾燥・熟成に適しています。こうした産地の特性が、干し芋の甘さや食感、風味を安定して引き出す基盤になっています」と小池さんは話します。

記事内画像:001 干し芋文化を守り、次につなぐ。【小池清嗣商店】の産地に根差した挑戦

干し芋は原料であるさつまいもを蒸して乾燥させた加工食品で、さつまいも本来の自然の甘みとねっとりとした食感が特徴です。保存性が高いことから昔から保存食としても親しまれてきました。「小池清嗣商店」ではこの干し芋を「平切り」「丸干し」という2種類、生産しています。

「平切り」タイプは、さつまいもを薄くスライスして干したものに対して、「丸干し」タイプはさつまいもを丸ごと一本そのまま干したもの。平切りは食べやすく、昔ながらの優しい味わいで、丸干しはねっとりとして濃厚な甘みが特徴で、スイーツのような味わいです。

記事内画像:002 干し芋文化を守り、次につなぐ。【小池清嗣商店】の産地に根差した挑戦

干し芋づくりにおいて、同社が特にこだわるのが丸干しの製造工程における「二度むき」です。蒸かしたさつまいもの皮を一度剥き、冷却した後に再び剥くことで、皮まわりの黒ずみや雑味を抑え、仕上がりの色と味を整えています。
平切りも丸干しも、皮を剥いた芋は甘みを増すために一度乾燥機に入れ、その後、一日天日干しすることでより甘みが増します。

「小池清嗣商店」では自社の干し芋のみならず、地元の名産としての干し芋のPR活動にも余念がありません。代表の小池勝利さんは、一般社団法人「ほしいも学校」の理事長を務め、干し芋の歴史や文化を次世代に伝える活動を行っています。
4年に1度の「世界ほしいも大会」、2年ごとの「ほしいも祭り」の設立をはじめ、「ほしいも神社」のプロデュースといったユニークな取り組みまで。干し芋を単なる食品ではなく、地域文化として根づかせていくことを目指しています。

記事内画像:003 干し芋文化を守り、次につなぐ。【小池清嗣商店】の産地に根差した挑戦

生産者紹介

  • 株式会社小池清嗣商店

    生産者名 株式会社小池清嗣商店 詳細

    株式会社小池清嗣商店は、干し芋の産地として知られる茨城県ひたちなか市で、さつまいもの栽培から干し芋の加工・販売まで一貫して行っている生産者です。もともとは干し芋問屋として創業し、現在では自社農園での栽培も行いながら、原料づくりから品質管理まで取り組んでいます。
    代表の小池勝利さんは、一般社団法人「ほしいも学校」の理事長も務め、干し芋文化を次世代へつなぐ活動にも取り組むなど、製造にとどまらず産地の価値と文化を未来へ引き継ぐことを大切にしています。