200年前からの伝統製法を受け継ぐ、京都の「白子たけのこ」。【DELICEキョウト】の挑戦

200年前からの伝統製法を受け継ぐ、京都の「白子たけのこ」。【DELICEキョウト】の挑戦

諸国良品

2026/02/01

白い色と、きめ細かく柔らかい肉質、そしてえぐみが少なく甘い「白子(しらこ)たけのこ」。京都西部のごく一部の限られた地域で、年間を通して手入れをされた上質な土壌からのみ採れる、希少なたけのこです。そんな白子たけのこを自らも栽培し、地域の名産品として取り扱うのが「DELICE(デリス)キョウト」の西田圭太さん。200年近く続く農園「たはらのうえん」を引き継ぎ、春はたけのこ、秋は柿の栽培を行っています。また、たけのこの伝統製法を後世につなぐ活動や、柿の規格外品を使った加工品の開発など、地域全体を盛り上げるべく、活動しています。

記事内画像:001 200年前からの伝統製法を受け継ぐ、京都の「白子たけのこ」。【DELICEキョウト】の挑戦

西田さんたちの白子たけのこは、「京都式軟化栽培法」という伝統製法により栽培されていますが、その特徴は大きく3つあります。1つ目が「芯止め」といい、竹にナンバリングをして管理し、6年ごとに成長途中の親竹の先端を折ることで、栄養を地下茎のたけのこに回します。また、地表の日当たりがよくなり、たけのこの発生を促すことにつながります。

2つ目が「茅(かや)敷き」。毎年6月に近くの川から茅草を刈ってきて、竹林に敷き詰めます。茅草は繊維質が多く、炭素を豊富に含んでいるので、微生物の働きによって徐々に分解され発酵が進みます。そうすることで地温が安定して乾燥を防いだり、雑草の発芽を防いだりします。
そして3つ目が「土入れ」です。冬になると竹林全体に土を被せます。夏に敷いた茅草と土が混ざって腐葉土になり、フカフカの土壌がたけのこの栄養となります。

記事内画像:002 200年前からの伝統製法を受け継ぐ、京都の「白子たけのこ」。【DELICEキョウト】の挑戦

この3つの作業を毎年繰り返すことで、竹林のぶ厚い土壌を保つことができるといいます。しかし、夏に茅草を刈って敷き詰める作業は体力的にもしんどく、周りの農園では茅草の代わりに藁(わら)を敷くことが今ではほとんどだとか。

「茅敷きや土入れはとても大変な作業ですが、長年受け継がれたこの伝統製法をぼくの代で終わらせないようにやっていきたいですね」

そう話す西田さんは、子どもの頃から自然や動物が大好き。動物園の飼育係や一般企業の営業としてのキャリアを歩むなか、奥さんの実家である「たはらのうえん」の農作業を手伝っていたそうです。そこで気づいたのが「自分はやはり自然と触れ合うことが好き」ということでした。
その後、農業の世界に入ると、知らなかった農業の一面に目が行くように。「いいものをつくっているのに、傷ものなど売り物にならないものが多く、もったいない」ということを知り、西田さんは柿の規格外品を加工品にすることを始めました。

記事内画像:003 200年前からの伝統製法を受け継ぐ、京都の「白子たけのこ」。【DELICEキョウト】の挑戦

「たはらのうえん」のあるエリアではもともと春にたけのこ、秋に栗の栽培をしていたそうですが、昭和の初めの台風で栗の木が折れてしまい、代わりに植えたのが柿の木でした。それ以降は冨有柿の栽培を続けています。
「たけのこと柿はちょうど作業が被らないんですよね。昔の人は素晴らしいと思います」(西田さん)

本格的に農業の世界に入ると、規格外品以外にも、高齢化による後継ぎ問題や放置竹林問題など、さまざまな課題が見えてきたという西田さん。2019年に「DELICEキョウト」を設立し、課題解決に向けて活動しています。その一つが、地域の生産者がつくる質の良いたけのこの販売です。

「たはらのうえん」のある大枝塚原エリアおよび周辺の大原野エリアの土は、上質な粘土質。その粘り気の強い土の中で成長したたけのこは、なかなか地上に穂先を出さないため、空気や光に触れずに“あく”や“えぐみ”が少なくなります。さらに冬にかけた土の布団にできるひび割れがたけのこ収穫のサインとなり、穂先が土の表面に出る前にたけのこを掘り出すため、真っ白なたけのことなるのです。

ほかにも、新しい竹林の活用法として、竹林キャンプや流しそうめんなど、竹林に足を運んでもらうイベントを実施。さらに、小学校や大学のゼミで放置竹林問題について一緒に考えたり、たけのこ掘りのツアーや竹と触れ合うワークショップを企画するなど、「京都竹林未来計画」と名付け、さまざまなプロジェクトに取り組んでいます。

「放置竹林や耕作放棄地、農作物の廃棄などの課題は何も京都だけのことではなく、日本全国共通の課題です。まずは自分たちの周りでできることから始め、それを発信することで仲間を増やしていけたらいいなと思っています」(西田さん)

生産者紹介

  • 株式会社DELICEキョウト

    生産者名 株式会社DELICEキョウト 詳細

    200年近く続くたけのこ&柿農家「たはらのうえん」の6代目。生産者として感じてきた、放置竹林、後継者不足、規格外品の活用など、地域活性の課題解決を「京都竹林未来計画」と名付けて取り組んでいます。「楽しく、美味しく」をモットーに、伝統を大切にしながらも新たな価値を創出し、地域社会や未来の食文化に貢献していきたいと活動中。規格外の柿を活用した「柿とスパイスカレー」のお店も運営しています。

関連商品