南アルプスの「山の果樹園」で育てられた、美味しい果実

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諸国良品

2021/05/14

山梨県西部に位置する南アルプス市。南アルプス山系のきれいな水と豊かな自然に恵まれ、市全体が自然と人間社会の共生を目的とした「ユネスコエコパーク」に指定されています。冬は寒さが厳しく、夏は気温が高いという盆地特有の内陸性気候は果樹栽培に適しており、すもも・桃・さくらんぼ・ぶどうなどのフルーツ王国となっています。そんな地で第二の人生を果樹に捧げ、独自の栽培法を模索しながら美味しい果実栽培に精を出すのが、「山の果樹園」の西尾文雄さんです。
 
 

甲府盆地西部を流れる富士川水系の、御勅使川(みだいがわ)と塩沢川(しおざわかわ)。そこに挟まれた扇状地の山の中腹に「山の果樹園」はあります。標高700mという園地は、南アルプス市内の他の果樹園と比べても昼夜の寒暖差が大きく、その分、果樹は糖度が増すといいます。かつてすもも畑だったこの地を引き継ぎ、さくらんぼ・桃などを新たに植えて、西尾さんが「山の果樹園」としてスタートしたのは2000年のことでした。

しかし、始めは苦難の連続だったといいます。人里離れた山の中腹という立地は、逆に猿や鹿など野生動物のテリトリー。度重なる獣害に見舞われ、園地を囲う電気柵の設置など対策を施すも、慣れればすぐに乗り越えてくるという、いたちごっこに悩まされていたそうです。結果、たどり着いたのは「モンキードッグ」と呼ばれる、猿や鹿を追い払うために訓練された番犬を飼うことでした。「ドッグトレーナーから指導を仰ぎましてね。自分で犬をトレーニングできるようにしたんです。結果これが一番効いてますよ」。今も2匹のモンキードッグが園地内をのびのびと走り回っています。

 

さくらんぼの花が満開を迎える4月中頃、園地ではミツバチたちがせっせと花の蜜を集めながら受粉作業の手伝いに精を出しています。ただ、山には様々な虫も多く、かつては果樹に付く害虫には悩まされたといいます。初めは無農薬を目指し、段々と農薬を減らしていったものの、害虫によってすももの果実のほとんどが被害に遭ってしまった経験もあり、業としてやっていくためには最低限の農薬は必要と切り替えました。それでもネオニコチノイド系などの強い農薬は用いずに、できるだけ適期防除することで農薬の回数を減らすなど、環境に配慮した農業を展開しています。

また、研究熱心な西尾さんの性格は、さくらんぼの仕立て方にも表れています。本来、四方八方に広がり、上へ上へ伸びていこうとするさくらんぼの樹ですが、西尾さんのさくらんぼの樹は3mほどの高さに抑えられ、横へ横へ伸びていっています。「垣根仕立て」と呼ばれる樹の特性を知り尽くさないと成しえない仕立て方で、誰がやっても高齢になっても作業の抜け漏れや高所作業の危険が少なくて済みます。生涯続けていくためにたどり着いた独自の仕立て方でした。

 

ここまでも試行錯誤の連続だったと話す西尾さんですが、「果実は美味しくなくては意味がない」と言い切ります。「いくら栽培法を工夫していようが、見た目が綺麗でいようが、結局は味が美味しくなくっちゃ果実はダメだよね。そういう意味では、ここの環境は最適。自然と少しばかりの私の創意で育んだ果実を是非味わって頂きたい」そう話す西尾さんの言葉には、自信が漲っていました。

生産者紹介

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    山の果樹園 詳細

    山梨県南アルプス市の人里離れた山の中腹で、さくらんぼ、桃、すもも、ぶどうなどを栽培している。獣害対策用のモンキードッグや、管理しやすさを追求した垣根仕立てなど、創意工夫しながら美味しい果実の栽培に精を出す。秋冬には山梨名物「あんぽ柿」の生産も手掛け、温度・湿度を管理した独自の乾燥室を設えるなど、品質の担保に余念がない。

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