「三条の土は粘土質で、水分と養分を安定的に掴んでくれる土壌。だから美味しい野菜ができるんです」そう話すのは飯塚農園の飯塚英晃さんです。農業大学校卒業後、祖母から継いだ土地で枝豆づくりに励んでいましたが、県の職員からの勧めもあり乗り出したのがアスパラガス栽培でした。
しかし、当時は土づくりから全てがいい加減で、8年目にして全滅に…。自信を失っていた飯塚さんが、もう一度やり直そうと思えたのは仲間からの激励があったからでした。「それから2年間、昼夜問わずどんな天気でも畑を訪れました。これでダメだったらもう農業を辞めよう」そんな想いで畑に通い詰めていたといいます。
一般的にアスパラガスはハウス栽培が多いですが、新潟では露地栽培が多く、天候にも左右されやすいですが、「自分には農業しかないし、何よりも農業が好き。失敗したら農業が続けられなくなる」という覚悟をモチベーションに、なんとか軌道に乗せます。そして、自分なりのアスパラガスができなければ意味がないと、自家培養した菌を混ぜた土壌づくりや、農薬を限りなく制限したオリジナルの栽培方法を確立していきました。
その後はアスパラガスの原産エリアといわれるイタリアにまで赴き、現地の作り方を学びに行ってきたという飯塚さん。研究熱心で生産にひたむきな姿勢は、地元のシェフからも支持され、今では三条市内の様々なレストランからも引き合いがあるようです。みずみずしい食感と、甘みと旨味のバランスの良さは、地元でも評判です。
また、祖母より受け継いできた栽培の勘と肥沃な大地で行う枝豆栽培においても、新しい技術や資材をミックスしたこだわりのないハイブリッド農業を目指しています。定期的な土壌診断に基づいた適切な肥料、ミネラル分を施与する土づくり。また、畝間を広くとり伸び伸びとした環境で育てることで促す、豊かな光合成と力強い発根。こうすることで食味の良い美味しい枝豆が生み出されます。
飯塚農園のコンセプトは「農穣幸育(のうじょうこういく)」。農の穣りを通じて、家族、従業員、シェフ、お客様、地域、日本、世界中の幸せを育くんでいくこと。愚直に栽培に取り組んだ飯塚農園のアスパラガスと枝豆を、是非一度ご賞味ください。