田口康平さんは、農薬や化学肥料に頼らず、昔ながらの品種や、伝統的な野菜を種を採りながら栽培しています。その活動の中で沼山大根の存在を知り、同じく農薬等に頼らない生産者の菊池晃生さんと遠山桂太郎さんに「稀有な大根がある」と声をかけました。
沼山大根はおろすと辛味が際立つ薬味となり、加熱するとホクホクとした食感となり甘みが引き出されます。
色々な味わいを持つ沼山大根にひかれた3人の生産者が復活に取り組み、毎年種を採り続けながら大事に育て、未来に残していけるように続けています。
田口康平さんは沼山大根以外にも、年間で30種類くらいの野菜とお米を育てています。
土づくりからこだわって取り組んで大事に育てられた野菜は、雑味やえぐみが少なく野菜本来の味が引き出されているのが特長です。
冬が来る前に保存食であるいぶりがっこを始め、たくあんや切り干し大根も作ります。こうして雪国秋田の冬のくらしは今も昔も自然に近いところで営まれているのです。
沼山大根をきっかけに雪国の食文化やくらしの知恵にも興味を持ってもらえれば嬉しいです。
また国際教養大学の学生だった青年2人が、この珍しい大根に興味を持ち、一本の大根を軸に現代の食や農業のあり方に問いを投げかける短編ドキュメンタリー映画「沼山からの贈りもの」を作り上げました。
この映画の中で3人の取り組みを紹介しています。
この映画は全映協グランプリ2020で最優秀賞・文部科学大臣賞を、門真国際映画祭で優秀賞と最優秀撮影賞を受賞しました。
沼山大根をきっかけに様々な人が関わって、伝統的な食文化を全国に届けようと取り組み活動しています。