使う人に委ねる、余白を残したデザイン | ファイルボックス

使う人に委ねる、余白を残したデザイン | ファイルボックス

おたより/軽、快、楽。ロングセラーのひみつ

2025/12/10

疲れにくいスニーカー、肩の負担を軽くするリュックサック、綿100%の着心地の良い肌着……。日常がより心地良く、楽しくなる。たくさんの人にながく愛されている、無印良品のロングセラー商品はどのようにつくられ、アップデートしてきたかを担当者に聞く連載。
第六回は、無印良品を代表する収納用品のひとつである『ファイルボックス』について。
(取材と文・岡島みのり 撮影・吉田塩)

※12月15日(月)より、ネットストアにて全商品の販売を再開しました。詳しくはこちらからご確認ください。

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ファイルボックス

ファイルや書類はもちろん、日用品の収納にも活躍する定番の収納ボックス。縦横どちらでも使え、置き場所に合わせて使い方をアレンジできます。素材には、再生ポリプロピレンを約20%使用。幅は10cm、15cm、25cmと、用途によって選べる3サイズを展開しています。

“見せる”から“見せない”へ。収納の新しいかたち

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無印良品のファイルボックスは、余白のあるデザインと丈夫なつくりを基調としつつ、使い方自体はお客様に委ねてきたそう。仕様を変えない安心感と再生材への切り替えなど、20年超の定番には目立たないけれど着実な“工夫”が積み重ねられていました。

―― まずはじめに、ファイルボックスが誕生した経緯を教えてください。

「もともと無印良品には、斜めにカットされた半透明の『スタンドファイルボックス』がありました。そこからの派生で“中身を隠す収納があってもいいのでは”という発想で誕生したのが、現在は定番となったホワイトグレーのファイルボックスです。こういったボックス型の収納は半透明が主流だった時代に、あえて中身が見えない仕様にすることで、より使い道が広がりました」(商品開発担当)

―― シンプルで、使う場所を選ばないデザインが印象的です。

「オフィスでも自宅でも、並べたときに空間に自然に溶け込むデザインを目指しました。また、縦にも横にも使える四角いかたちは、書類だけでなく、日用品の収納にも応えるためです」(デザイナー)
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使い方の自由が、次のかたちを生んだ

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―― SNSでは、つい真似したくなるような画期的な使い方をしているユーザーを多く見かけますよね。

「掃除用品をまとめたり、キッチンでフライパンを立ててみたりと、思いもよらない使い方がSNSで広がっていきました。たとえば、幅25cmの大きめのタイプには、トイレットペーパーや箱ティシュー、レトルト食品のストックなどを収納する方も多いです。そこから、スタッキングしやすいフタや、移動させるのに便利なキャスター、高いところからでも楽に引き出しやすいつまみといったさまざまなカスタムパーツも誕生しました」(商品開発担当)
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―― お客様の自由な発想が、商品の進化につながっていったんですね。双方向のものづくりというか。

「ファイルボックスを使って、クローゼットの中でTシャツをきれいに収納したり、型崩れしないように帽子やバッグを保管している方もみられました。あと最近では、推し活グッズのうちわを収納している方も。我々が想像もつかなかったようなアイデアが次々と生まれていくんですよね。使う人や使う場所、入れるものを選ばないのが、このファイルボックスの魅力の一つなのかなと思います」(デザイナー)
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―― そのような自由性をもたらすために、デザインで意識していることは?

「特に意識しているのは、スペックを変えないこと。収納用品は、買い足すたびに同じサイズで揃えられる安心感が何より大切。仕様変更で既存ユーザーを裏切ることはしたくなかったんです。ここだけの話、自社で発売する家具と幅を合わせてアップデートしてはどうかと社内でリクエストがあったこともありましたが、今まで買ったお客様を優先すべきと、安易に仕様を変えないことを徹底しました。発売当初からサイズは変わらず、どんな時代の棚にもすっと馴染む統一感が守られています。いつでも同じものがあるという安心感が、無印良品の収納には求められているのではと思います」(商品開発担当)
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アップデートは環境への配慮も

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―― 発売当初から、素材は変わってきたのでしょうか?

「現在販売中のファイルボックスは、すべてのラインを再生材入りへと移行し、素材の約20%にリサイクル原料を使用しています。クリアタイプには店頭で回収したファイルボックスを再利用、ホワイトグレーやダークグレーのシリーズでは、家電リサイクル由来の再生プラスチックを採用しました」(商品開発担当)

―― 最後に、ファイルボックスがたくさんの人にながく愛されている理由はどこにあると思いますか?

「あらゆる空間や生活にも馴染むシンプルさと、用途を選ばない汎用性。どんな暮らしにも寄り添える安心感があるアイテムだからだと思います」(デザイナー)
「変わらないことと、進化し続けること。その両立こそが、ファイルボックスの真価だと思います。仕様を変えず、いつでも同じものが買えるという信頼が、お客様との長い関係を支えてきました。その一方で、より使いやすくする付属品の開発や環境に配慮した素材の採用など、静かなアップデートを続けていることも、リピーターを増やしながら、多くの人に支持され続けている理由のひとつだと思います」(商品開発担当)

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