疲れにくいスニーカー、かかとにフィットする直角靴下、綿100%の着心地のよい肌着……。日常がより心地良く、楽しくなる。たくさんの人にながく愛されている、無印良品のロングセラー商品はどのようにつくられ、アップデートしてきたかを担当者に聞く連載。
第二回は、通勤や通学など、多くのシーンで使われている『肩の負担を軽くする 撥水リュックサック』の話。
(取材と文・岡島みのり 撮影・吉田塩)
肩の負担を軽くする 撥水リュックサック
厚みのあるショルダーパッドと、背中に沿う設計で負担を軽減する軽量リュック。撥水加工を施した生地は汚れにくく、雨の日にも使いやすい。定番カラーの黒のほか、シーズンごとにさまざまなカラーを展開。
どうしたら肩の負担を減らせるのか
無印良品のバッグのなかでも、長く愛され続けているバッグといえば『肩の負担を軽くする 撥水リュックサック』。(2017年発売開始)
使いやすさを求めて長年にわたりアップデートされてきたこのアイテムは、通勤や通学はもちろん、店頭で働くスタッフの間でも「重い荷物を入れて背負っても疲れにくい」と評判です。
今回は、そんなリュックの“背負いやすさ”のひみつを探るべく、商品企画とデザイナーのふたりに話を聞きました。
——もともと、無印良品にはリュックの展開があったのでしょうか?
「以前からリュックの取り扱いはありました。ただ、今のような軽さや撥水性、背負いやすさに特化した設計ではなく、革製のもっとシンプルなつくりでした。このリュックは、“肩への負担を軽くしたい”という視点から開発がスタートし、何度も試作や改良を重ねて誕生した商品なんです」(商品企画担当)
——重い荷物を入れて、ときに長い距離を歩くこともあるリュックですが、どのようにして身体への負担を軽減し、快適性を高めているのでしょうか?
「一番に考えたのは、“肩にかかる力をどう分散させるか”。従来のリュックは肩の一部分だけに力がかかる設計だったのですが、ショルダーパッドに十分な厚みを持たせると同時に、ストラップの角度や体への当たり方を細かく調整しました」(デザイナー)
——ショルダー部分にひみつがあるのですね。
「山登りに用いるバックパックと同じ発想で、なるべくリュック本体を身体に密着させる構造にしています。そうすると、身体とリュックサックの重心が近くなるので、余計な力を使わなくて済み、安定するんです」(デザイナー)
——中の構造にも何か工夫が?
「荷物の詰め方についても同じ考え方で、身体とリュックサックの重心が近くなると、歩行時に左右に振られたり、後ろに引っ張られたりすることがなくなります。自然とそういったパッキングがしやすいよう、一番背中に近いところにPCポケットを付けました。“重いものは背中側に、軽いものは背中から離れたところに”が基本の考え方です」(デザイナー)
理想のリュックを追い求めて
——ファーストモデルが発表されてから、今までデザインは変わってきているのでしょうか?
「最初のモデルは外ポケットもなくシンプルなつくりでしたが、“すぐに取り出したいものがある”という声を受けて、セカンドモデルから外側のポケットを追加しました。また、メイン収納には背中側からもアクセスできるファスナーをつけ、リュックをいちいち下ろさずに荷物を取り出せるようにしています」(デザイナー)
——通勤や通学をはじめ、さまざまな用途を想定している印象があります。
「先ほどもお話した通り、内側にはPCを収納できるポケットもありますし、A4サイズのノート、ファイル類も余裕を持って入るので、通勤や通学でかさばる荷物もすっきりおさまります。また、毎日気兼ねなく使えるよう、生地には撥水加工を施した再生ポリエステル素材を使いました。汚れがつきにくく、急な雨でも安心。本体が軽いので、通勤や通学はもちろん、マタニティバッグとしても愛用いただいています。シーズンによってカラーバリエーションも異なるので、色違いで購入いただく方もいらっしゃいます」(商品企画担当)
毎日に、ちょうど良い軽さを
日々の移動や通勤、ちょっとしたお出かけまで。どんな場面でも気兼ねなく使えて、荷物が多い日にもそっと背中を支えてくれる『肩の負担を軽くする 撥水リュックサック』。長く愛されてきた背景には、見た目のシンプルさに隠れた工夫の数々があります。厚みや角度にこだわったショルダー設計、自然に重さが分散される構造、汚れにくく雨にも強い撥水素材。それらはすべて、“毎日使いたい”と思える心地よさを追求したものでした。