軽、快、楽。ロングセラーのひみつ
香りをもっと身近に、日用品として | インテリアフレグランスオイル

2026/04/16
疲れにくいスニーカー、肩の負担を軽くするリュックサック、綿100%の着心地の良い肌着……。日常がより心地良く、楽しくなる。たくさんの人にながく愛されている、無印良品のロングセラー商品はどのようにつくられ、アップデートしてきたかを担当者に聞く連載。
第九回は、ラタンスティックを挿すだけで空間にやさしく香りが広がる『インテリアフレグランスオイル』。暮らしに香りを取り入れるアイテムとしてながく愛され続けてきた理由と、そのひみつに迫ります。
(取材と文・岡島みのり 撮影・堤智世)
第九回は、ラタンスティックを挿すだけで空間にやさしく香りが広がる『インテリアフレグランスオイル』。暮らしに香りを取り入れるアイテムとしてながく愛され続けてきた理由と、そのひみつに迫ります。
(取材と文・岡島みのり 撮影・堤智世)

気分や場所に合わせて香りを選び、心地良い空間をつくるフレグランスオイル。ボトルにラタンスティックを挿すだけで、香りがやさしく広がります。清涼感のあるグリーン、爽やかなシトラス、落ち着きのあるハーバル、華やかなフローラル、森林を思わせるウッディ、朝の空気のようなフレッシュエアーなど、自然から着想を得た香りをラインナップ。ボトルの佇まいもインテリアの一部として楽しめます。
香りを、もっと気軽に取り入れて欲しい

——無印良品のお店に入ると、このボトルが棚一面にずらりと並んでいるのが印象的ですよね。いつ頃から、どのような背景で生まれた商品なのでしょうか?
「実は無印良品ではかなり早い段階からフレグランスを扱っていて、最初はエッセンシャルオイルとアロマディフューザーが中心でした。当時は香りって専門店で買うものというイメージが強かったと思うのですが、それをもっと身近に、暮らしの中に取り入れてもらいたいという思いがありました。その中で、インテリアの一部として香りを楽しむ方法として2011年に販売開始したのが、このインテリアフレグランスオイルです。日本の市場では、まだリードディフューザーと呼ばれるフレグランスがメジャーになる前でしたね。発売当時は香りが3種類、容量も60mLの1種類で、ラタンスティックとセットで販売を始めました。ラタンスティックを挿すだけで空間に香りが広がるので、専用の機械もお手入れもいらない。生活の中で手軽に使える香りのかたちとして提案したんです」(商品企画担当)
——香りを、暮らしの一部として提案してきたということですね。
「そうですね。香りを特別なものではなく、日用品として気軽に取り入れてもらえるようにしたいという気持ちで。毎日の暮らしの中でふとした瞬間に香る、そんな存在になれていたらいいなと思っています」(商品企画担当)
隠すボトルから“インテリア”へ

——香りはもちろんのこと、ぽってりとした丸みのあるボトルも、この商品の特長だと思います。このデザインや色味にもこだわりがあるのでしょうか?
「発売当初は、実は今のかたちとはまったく違い、日本語のパッケージが印刷された緑色のボトルに入ったフレグランスオイルを、専用の磁器のカバーの中に入れて使う仕様でした。そのまま置くとインテリアに馴染まないという理由で、ボトルを隠すかたちだったわけです。ただ、それだと香りのボトルと専用カバーの2つを買わないといけないですし、使い終わったボトルがゴミになってしまう。そもそも、ボトル自体をひとつのインテリアとして馴染むデザインにするのはどうかということで、ボトルデザインの見直しが始まりました」(デザイナー)
——そこから、今のボトルに?
「その後しばらくは、すりガラスのようなマットな質感の瓶で販売していました。それはそれで多くのお客様に手に取っていただいたのですが、木を基調とした無印良品の売場の中では、その瓶がかなり黒っぽく見えるということにあるとき気が付いて。無印良品へ家具やインテリア雑貨を見にきてくださるお客様は、ナチュラルな雰囲気がお好きな方も多いかと思うのですが、そういったお家の中に取り入れてもらう上で、今のボトルデザインがベストなのかと、再考するタイミングがあったんです。そこで2024年に行ったリニューアルでは、“インテリアとして置きたくなる瓶”をもう一度しっかり考えようということになりました」(デザイナー)

——この丸みと光沢感のあるボトルは、そのときに生まれたんですね。
「はい。もともとの茶色のガラス瓶の素材を使いながら、かたちを大きく見直しています。特長はこの丸みのあるフォルム。どの角度から見ても角がなく、丸く見えるようなラインで設計されているんです。普通のボトルは角度によって輪郭が変わるんですが、このボトルは回してもずっと丸い印象が続く。自由曲線で描かれていて、光が当たったときのハイライトまで含めてデザインされています。情報を最小限にした新しいラベルも、こだわりのポイントです」(デザイナー)

「さらに素材は、リサイクルガラス100%の茶瓶を使いました。ビール瓶や栄養ドリンクなど、茶瓶として回収されたものを再生したガラスです。環境面にも配慮しながら、インテリアとして成立するデザインに仕上げています。フレグランスはもちろん香りが主役ですが、この商品は“香りのボトル”というより、“花瓶のように置ける存在”にしたいと思っていて。暮らしの中に自然と馴染むデザインを目指しました」(デザイナー)
精油とラタンがつくる、自然な香り方

——香りそのものにも特長があるのでしょうか?
「無印良品のフレグランスオイルは、精油も使っているのが特長です。合成香料だけでつくる香りと違い、植物そのものの自然で複雑な香りが楽しめます。精油が入ると油の粒が大きくなるので、スティックの中で詰まりやすく、香りの広がりが不安定になることがあるのですが、それも自然由来の素材を使っているからこその現象。香りが弱くなってきたと感じたら、スティックの上下をひっくり返して挿しなおすと良いですよ。このスティックも、人工的な繊維ではなく、ラタンを使っています。植物が持つそのままの力で香りを吸い上げて、空間に広げていく仕組みです」(商品企画担当)
——ラタンスティックの本数で、香りの強さを調整できるんだとか。
「香りが強く感じるときはスティックの本数を減らして、弱いと感じるときは本数を増やします。体調や季節によっても感じ方が変わりますし、置く場所の広さによっても、スティックの本数を調整していただけたらと思います。例えば私は、会社の自分のデスクにもスティックを1本だけ差して置いています。朝出勤したときや、会議が終わってデスクに戻ってきたとき、ふとしたときにほのかに香って、リラックスできるんです。そんなふうに、自分の暮らしに合わせて使ってもらえると嬉しいですね」(商品企画担当)

——詰め替え用があるのも、長く使える仕組みですよね。
「香りを気に入って使い続けてくださるお客様が増え、詰め替え用を購入される方も多くなりました。ボトルはそのまま繰り返し使えるので、使い終わったら新しいオイルを足していただくかたちなのですが、新たな試みとして、2026年の4月から『ガラスボトル』のみの販売もはじめました。詰め替え用を複数のボトルに少しずつ分けて使っていただくのも良いですし、新たな香りを試したいときにも。個人的には、花瓶として使っていただくのもおすすめです。そんなより幅広い用途や置き場所に対応できるよう、S~Lの3サイズ、カラーは定番の茶に加え、クリアも揃えました」(商品企画担当)

——香りのラインナップには、どのような特長が?
「共通する大きなテーマとしては、“自然から着想を得た香り”。例えば一番人気の『ウッディ』はヒノキの香りをベースにしていて、わたしたち日本人にとってどこか懐かしく、落ち着く香りになっています。『グリーン』は発売当初からある定番で、草花のようなフレッシュさを感じられる香りに。『シトラス』は柑橘の爽やかさ、『ハーバル』はラベンダーやローズマリーなど、ハーブの清々しさをイメージしています。『フレッシュエアー』は、朝の空気のような透明感のある香り。少しムスクを入れていて、軽やかさの中に、奥行きも感じられるようにしています。そのほか時期によって季節限定の香りも販売していますが、どれも、生活の中で自然になじむことを大切につくりました」(商品企画担当)
——自然を連想する香りだからこそ、毎日香っても疲れず、使い続けたくなるのかもしれませんね。
「香りって本来は嗜好品ですが、それを日用品として当たり前に使ってもらいたいという思いで開発してきました。専門店で買う特別なものではなく、いつでも手に取りやすいものであること。暮らしに寄り添う、自然をイメージした心地良い香りと、インテリアとして視覚的にも楽しめるデザイン。そういったバランスが、多くの方にながく選ばれている理由になっているのではと思います」(商品企画担当)
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