かたちを決めない、自由なくつろぎ | 体にフィットするソファ

かたちを決めない、自由なくつろぎ | 体にフィットするソファ

おたより/軽、快、楽。ロングセラーのひみつ

2026/03/06

疲れにくいスニーカー、肩の負担を軽くするリュックサック、綿100%の着心地の良い肌着……。日常がより心地良く、楽しくなる。たくさんの人にながく愛されている、無印良品のロングセラー商品はどのようにつくられ、アップデートしてきたかを担当者に聞く連載。
第八回は、流動性のある微粒子ビーズが体のかたちに合わせて変形する『体にフィットするソファ』。お客様の声から生まれ、20年以上にわたって愛され続けてきた理由と、そのひみつに迫ります。

(取材と文・岡島みのり 撮影・堤智世)

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体にフィットするソファ

流動性のある微粒子ビーズが体のかたちに合わせて変形し、包み込まれるような座り心地をかなえるソファ。タテ置きにすると円状に広がり、深く沈み込んで全身を預けられる安定感のある座り心地に。横置きでは腰から首までをやさしく支え、読書など集中したいときにも。カバーは、汚れにくいポリエステル生地とデニム生地の2種類を展開。

お客様の「欲しい」から始まったロングセラー

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――『体にフィットするソファ』って、ネーミングも印象的ですよね。どのような経緯で生まれた商品なんでしょうか?

「もともとは、以前運営されていた『ものづくりコミュニティ』というWEBサイトの中で、お客さま参加型の商品開発を行っていて。『体にフィットするソファ』も、その中で生まれた商品なんです。“座る人の姿勢に、自然と合うソファがほしい”という声があって、それをかたちにしていく中でビーズを使うアイデアにたどり着いたと聞いています。当初は、お客様の声をもとにトライアル的にやってみようという商品でしたが、発売後、想像以上に多くのお客様に好評をいただき、2003年の発売以来、気づけば20年以上のロングセラーの商品となりました」(商品企画担当)

――発売後、特に注目されたタイミングがあったとか。

「このソファを使った方がネット上で発信した口コミワードがはじまりかと思うのですが、当時“人をダメにするソファ”として話題となったことも、この商品のヒットの後押しとなりました。当時の私は、無印良品の店舗スタッフとして働いていたのですが、店頭でも“なんだか急激に問い合わせが増えたな”という感覚があったのを覚えています」(商品企画担当)

――そこから、より多くの人に広がっていったんですね。

「そうですね。多くの方に喜んでいただけるヒット商品が生まれるのは嬉しい一方、たくさん商品を売るということは、その責任が伴うことだとも思っています。このソファも、へたってしまったらそれで終わりではなく、まずはいかにながく使い続けてもらえるよう工夫するか。さらに、使い終わったあとはどうするのかを考えなければなりません。実際にお客様からも、『長年使ったものを手放したいけれど、どのように処分したら良いか』といった声も上がっていました。そういったこともあり、一部店舗では使い終えたソファの回収を行ったり、2025年3月にオープンした奈良県のイオンモール橿原店では、回収品をクリーニングしたものを、リユース販売する取り組みも行っています。現状全店での実施には至っていませんが、今後も出来る限りこのような取り組みを増やして、循環につなげていきたいと考えています」(商品企画担当)

2つの生地が生み出す、2つの座り心地

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――ソファといえば座り心地が何より大切なポイントのひとつですが、「体にフィットするソファ」は具体的にどんなところにこだわっているのでしょうか?

「まずひとつは、2種類の生地を組み合わせてつくっている、6面構造。6面のうちの4面はほぼ伸びない布帛の生地、残りの2面には伸縮性のあるニット生地を使っています。布帛の面に座ると、伸縮性のある面が広がり、やわらかく体を包み込む座り心地に。置き方を変えて、ニット生地の面に座ると、体が深く沈み込みすぎず、安定感のある座り心地に。どの向きで使うかによって、座り心地が変わる、というのがこのソファの最大の特長です」(商品企画担当)
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――2種類の生地を組み合わせるって、ありそうでない発想ですね。

「実はこれは、偶然の産物だったんです。試作中、さまざまな生地を試している中で、たまたま複数の生地を組み合わせてつくってみたところ、“これだ”と。この異なる2種類の生地の組み合わせが、上から腰掛けたり、体全体を預けてもたれかかるなど、どんな体勢でも体にフィットする使い心地につながったのだと思います」(商品企画担当)

心地良さのわけは、『微粒子ビーズ』

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――中に入っているビーズにもひみつがあるとか。

「一般的なビーズクッションに使用しているビーズと比較して、粒が非常に細かい、微粒子ビーズを採用しています。このようなビーズを使っているのは、へたりにくさを考えてのこと。粒が大きいと中に空気の層が出来るので、どうしても潰れやすくなってしまう。反対に粒が細かいほど余分な空気層ができにくく、ながく使ってもかたちが崩れにくいんです。またこのビーズは、『体にフィットするソファ』専用に、厳しい品質基準のもと日本国内で生産しているもの。へたりにくさはもちろん、安全性が高いものになっています。コスト面を考慮すると海外生産という選択肢もありましたが、ビーズを発泡させるために使用するガス特有のにおいが気になるなど、品質面でやはり国内生産に勝るものはありませんでした。直接体を預けてリラックスするものなので、素材や製造工程に関しては妥協できません」(商品企画担当)

――ボリュームのつぎ足しには、『補充用クッション』を使うんですね。こちらはいつから販売していますか?

「2020年ですね。“使っているうちにへたってきたので、ビーズをつぎ足したい”という声は以前からあったのですが、粒が非常に細かいために、仮にビーズを直接補充しようとするとフワッと舞ってしまい、補充しづらいという思わぬ課題が……(笑)。そこで、より手軽にボリュームを復活させられないかと考え、同じ微粒子ビーズを使った『補充用クッション』を開発しました。本体の上に乗せるかたちで、カバーの中に入れることで、使い心地はそのままに、手軽にボリュームを復活させることができるようになりました」(商品企画担当)

試行錯誤の中で見えた、守るべき軸

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――この商品は、一般的なソファとは少し立ち位置が違うように感じます。

「従来のソファの枠にとらわれず、お客様の生活スタイルに合わせてアレンジできるのがこの商品の魅力なのかなと思います。普通のソファでは考えられないですが、家の中で自由に持ち運べるので、使う場所や場面を選びません。それでいて、自分の心地良い体勢に合わせて、自在に体にフィットするデザインです」(商品企画担当)

――ソファとして一番大切な役目は果たしながらも、そこに使い勝手の良さも兼ね備えていますよね。サイズ感も絶妙なんでしょうか。

「実は今までに、横長の長方形タイプなどを発売してきたこともあります。ですが、お客様に最終的に選ばれ続けたのは真四角に近い今のかたちでした。使い方や置き場所の自由度、体へのフィット感、そのバランスがいちばん良かったんだと思います」(商品企画担当)

――そういった試行錯誤を重ねながら、約20年間販売を続けているなかで見えてきた、この商品のロングセラーの理由とは。

「どんな暮らしの中にも溶け込む使い方の自由度と、開発当初からずっと変わらず“体にフィットする”という体験を守り続けてきたこと、この2つだと思います。時代に合わせて、より良くするための小さなアップデートはこれまでもありましたし、これからも続けていきますが、お客様の声から生まれたこの商品の大切な軸は、ずっと守り続けていきます」(商品企画担当)


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