暮らしのQ&A
新米のおいしい味わい方を、お米のプロが伝授

2026/09/11
今回はお米のプロである澁谷梨絵さんに、新米の炊き方のコツ、土鍋を使った炊飯、さらにごはんがすすむぬか漬けからお米のじょうずな保存方法まで、新米を味わい尽くすためのあれこれを教えてもらいました。
(取材・文/オカモトノブコ 調理/石黒裕紀 撮影/青木和義)
5ツ星お米マイスター、ごはんソムリエ。株式会社シブヤ代表。全国200カ所以上の田んぼに通い詰め、日本で唯一、穀物の6大プロフェッショナル資格を持ち、発酵食スペシャリストの資格も。テレビや雑誌、講演や食育活動などで、お米の魅力やおいしい食べ方、ごはんに合うレシピ提案などで幅広く活躍中。
旬のシーズンが到来。新米がおいしい秘密とその選び方
「新米のおいしさの理由は、その豊かな香りとみずみずしさ。新米ならではのツヤ感も、大きな魅力のひとつです。
本来、お米は収穫後も呼吸を続けているため、時間が経つと徐々に酸化が進みます。けれど収穫したての新米は、水分をたっぷりと含んだフレッシュな状態。古米のような酸化臭がまったくないので、そのおいしさは格別です」と、澁谷さん。
まずは、新米ならではのおいしさを楽しむ、そのポイントから教えてもらいました。

新米が出回る期間と、おいしく食べられるタイミングは?
新米の収穫は、早いところでは6月の沖縄がスタート。全国的には9~10月にピークを迎えるといいます。
「ただしここ最近は、夏の暑さの影響で田植えを遅らせる農家が増え、11月頃まで収穫が続くこともあります。
そして新米というと収穫直後がいちばんおいしいと思われがちですが、実はお米の水分が落ち着く1~2か月後がベスト。
また精米から時間が経つと酸化が進むため、鮮度とおいしさを保つには、新米の時期なら精米から2か月以内、その後は1か月以内に食べ切るのがおすすめです」
フレッシュな新米を見極めるポイントは?
「“新米”と表記できるのは、その年に収穫されて12月31日までに精米されたお米のみとルールで定められています。年明けの1月1日以降に精米されたお米は該当しません。
もし年明けに“新米”とシールが貼られたお米を見かけたら、年内に精米されて少し時間がたったお米である可能性も。袋に表記された精米時期も、ぜひチェックしてみてください」
新米のおいしさを引き出す、「炊き方」のコツと工夫
「“水分の多い新米は水加減を減らして炊く”と言われましたが、それはひと昔前のこと。
乾燥技術が進化した現代は、お米の水分量も年間を通して安定しているため、いつも通りの水加減で問題ありません。代わりにポイントとなるのが、洗米と浸水のやり方です」
そこでまずは、新米をおいしく炊くための基本のコツを教えてもらいましょう。
最初に出合う水が重要! 新米はさっと水を通す程度に
「フレッシュな新米は、ぬかが取れやすい状態。何度もゴシゴシ洗う必要はなく、軽く水を通す程度で十分です。ボウルとざるを重ねる方法だと、洗うのも水切りもラクで簡単。
また洗米では、お米が吸収する水分のおよそ7割が最初に出合った水から吸収されます。ここでおいしいミネラルウォーターを使うと、炊き上がりの味が格段に良くなりますよ」

ボウルにざるを重ねて洗米します。まずはたっぷり水を張って準備スタート。

計量した米をざるに入れ、そのまま水を張ったボウルに沈めます。ここからはぬかを含んだ水がどんどん吸収されるので、とにかく手早く!

手でざっと2~3回かき混ぜたら、すぐにざるを引き上げます。お米を水に入れてから、引き上げるまでおよそ10秒が目安。

古米の場合はここまでを3~4回繰り返しますが、ぬか切れのいい新米の場合は1~2回で十分。
新米を浸水する時間と、炊き上がりのポイント
「皮がしっかりした新米は芯まで水分が入りにくいため、長めに浸水を。普段は20~30分程度でOKですが、新米では最低でも1時間、できれば2時間しっかり浸水させることで、中までふっくらと炊き上がります。
また炊飯器で炊く場合、蒸らし機能がなければ炊き上がり後にいったん保温を切って。そのまま15分ほど蒸らすことで、お櫃(ひつ)のように水分が均一に行き渡ります。
蒸らし終わったら、すぐにしゃもじで全体をほぐしましょう。炊きあがりのムラをなくし、空気に触れさせることで一粒一粒の表面に膜が張って粒が立ちます」
実はとっても簡単。おいしく時短で炊ける「土鍋ごはん」のすすめ
「新米の季節にこそぜひ試して」と、澁谷さんもおすすめなのが土鍋を使った炊飯。
「一見、難しそうに見えますが、実は炊飯器よりも炊飯時間がぐんと短いのは大きなメリット。思っている以上に手間もかからず簡単なので、おかずをつくっている間に、あっという間に炊き上がります。」

「炊飯器のように甘みや粘りを引き出すというより、比較的あっさりめに炊き上がるのも土鍋の特長。湯気とともに立ち上がる香りをダイレクトに楽しみたい、新米の時期には特にぴったりです。
また、その日の気温や湿度、水温などのコンディションによっても、炊き上がりが少しずつ変わってくるのが面白いところ。ふたを開けたときのごはんの香りやみずみずしさも、土鍋を使って感動するポイントです」
土鍋ならではの味わいと、おこげの楽しみも
「土鍋の醍醐味はもうひとつ、香ばしい“おこげ”ができること。
そのままでもおいしいですが、おこげだけを残しておいて、あたたかい番茶などを注いだ“おこげ茶漬け”で二度楽しむのもおすすめです。料亭でも出されるメニューなんですよ」

『土釜おこげ』は、中火にかけるだけで途中の火加減は不要。
1.5合炊きは約14分、3合炊きは約17分で、簡単におこげ付きのごはんができます。炊き上がりのおいしさに、「もう炊飯器には戻れない」という声も。
秋の行楽やお弁当にも。新米で味わう「炊き込みごはん」
普段から、無印良品の炊き込みごはんの素を愛用しているという澁谷さん。具材の旨味とともにみずみずしい新米を味わう、炊き方や食べ方のアイデアも教えてもらいました。
「おいしい炊き込みごはんのコツは、浸水のタイミング。最初から調味液を入れると塩分で吸水が妨げられるため、まずは“水だけ”で1時間、しっかり浸水させるのがベスト。
そのうえで、調味料や具材は、炊く直前に加えましょう。最初から調味液を入れるなら、普段より30分~1時間ほど長めに浸水時間をとればOKです」

「炊き込みごはんは適度な油分も含むため、冷めてもツヤ感があって、時間が経ってもパサつかずにおいしくいただけます。一品で栄養も摂れてごちそう感があるので、おにぎりにして秋の行楽弁当を楽しむのもおすすめ。
定番のきのこ類に加えて、栗やさんまなどの旬の味覚を合わせると、秋らしい豊かな食卓が楽しめます」
丸ごと漬けるだけ。新米とセットでおいしい「ぬか漬け定食」
早くから、“ぬか”の魅力とその健康効果に注目してきた澁谷さん。新米と一緒に楽しみたい、ぬか漬けの魅力とは?
「お米は精米してぬかを削ると、ビタミンなどの栄養は大半が取り除かれてしまいます。ぬかに含まれる栄養素は、ぬか漬けにすることで野菜に取り込まれ、一緒に摂れるように。
発酵の力で食材のうまみもぐっと引き出され、腸活にもぴったり。ぬか床をイチからつくるのは大変ですが、最初から発酵していて袋のまま漬けられる『発酵ぬかどこ』は、手軽に始められて管理も簡単です」
澁谷さんおすすめ。ぬか漬け食材の新しい提案
炊き立ての新米ごはんに、おいしいぬか漬けがあればそれだけで幸せなごちそうに。

定番のきゅうりやなす以外にも、手軽に漬けられて満足度の高いおすすめの食材を教えてもらいました。
キャベツ:ざく切りにして漬けると、1~2日ほどで味がぎゅっと凝縮されます。さわやかな酸味も特長。
トマト:ヘタを取って、丸ごと漬けるだけ。旨味と塩気がしみ込んで、ジューシー感のある箸休めに。
チーズ:まるで熟成されたような深いコクに。ごはんのおかずにも、お酒のおつまみにもぴったり。
お米のおいしさをキープするには? 保存のコツと注意点
「せっかくの新米も、保存状態によってはあっという間に味が低下してしまいます」と澁谷さん。そこで最後に、お米のじょうずな保存方法について教えてもらいましょう。
「まず気温が22度を超えるとコメムシが発生しやすく、25度以上になるとそのリスクが急上昇。高温で密閉されない環境では、お米の酸化も進んでしまいます。
避けてほしいのは、買ってきた袋のまま常温のシンク下に置くこと。お米の袋には見えない空気穴もあって、湿気が多く、虫も入りやすくなってしまいます」
ベストな保管場所は、冷蔵庫の野菜室

「お米にとっていちばん快適なのは、温度と湿度が一定に保たれる“冷蔵庫の野菜室”。冷蔵庫にしまえる、専用の密閉保存容器があれば便利です。

『冷蔵庫用米保存容器』は、ふたが計量カップになっているのも便利。庫内でお米が飛散しないように、ふた以外の部分は外れない設計です。
そのほかペットボトルに移し替えたり、高密度のポリエチレン袋や、野菜用の鮮度保持袋などで小分けにしたりしてもOK。におい移りを防いで、みずみずしさを長く保てます。
常温での保存は、湿気や害虫を防ぐ工夫を
「とはいえ、たくさんのお米を冷蔵保存するのは難しいもの。その場合はトタンボックスなどの光を遮断して密閉できる容器に入れ、風通しの良い涼しい場所に置きましょう。
コメムシは唐辛子の辛み成分(カプサイシン)を嫌うため、一緒に入れておくと防虫効果を発揮します。気になる場合はガーゼや和紙に包むと、唐辛子の種などが混ざることもありません。

また、コメムシは底に残った古い米ぬかをエサにして繁殖するので、お米を継ぎ足して入れるのはNG。容器が空になったら内袋は新しいものに交換し、食品用の除菌スプレーなどで容器内を拭き取り、完全に乾燥させてから新しいお米を入れましょう」
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