暮らしのQ&A
快眠セラピストに教わる、ぐっすり眠るためのナイトルーティン

2026/10/17
取材と文/秦レンナ キービジュアル撮影・田上浩一
みはし・みほ 快眠セラピスト、睡眠環境プランナー。寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。これまで1万人以上の眠りの悩みに向き合い、講演や執筆などを通じて快眠のための工夫を伝えている。寝具や快眠グッズの開発、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書に『オトナ女子の不調と疲れに効く 眠りにいいこと100』(かんき出版)など。
秋こそ味わいたい、ぐっすり眠る気持ちよさ

寝苦しい夏を過ぎ、涼しくなってくる秋。三橋さんによると、10月から11月は一年の中でも眠りやすい時期だといいます。ただ、夏の睡眠不足や疲れを引きずり、寝ても眠気が残ったり、朝起きられなかったりする人も。日照時間や気温の変化も、眠りに影響することがあるのだとか。
「秋は日の出が遅くなるため、体内時計のリズムが後ろにずれ、朝の目覚めが悪くなることがあります。日中に浴びる光が少なくなると、眠りを促すホルモン『メラトニン』の分泌にも影響し、熟睡感を得にくくなる場合も。また、寝入りはちょうど良くても、夜中に冷えて目が覚めるなど、寒暖差による悩みもあります」
こうした季節の変化に合わせて、「眠る環境や夜の過ごし方を整えることが、心地良い眠りにつながる」と、三橋さん。
「秋は暑さが和らぎ、睡眠の悩みが減る季節です。せっかく気持ち良く眠れる時期ですから、読書の秋、運動の秋と同じように、睡眠も楽しんでほしいですね。秋のうちにしっかり眠って心身を整えることは、冬を健やかに過ごすための備えにもなると思います」
眠りのために体と心を整える、ナイトルーティン
秋の眠りを楽しむために、三橋さんがすすめるのは、就寝に向けて体と心をゆっくりいたわりながら、眠りの準備をすること。
今回は、24時に眠り、翌朝7時に起きる場合を例に、就寝までの理想の過ごし方を教えていただきました。
19:00 帰宅したら、照明を暖色に
「光は、睡眠を促すホルモン『メラトニン』の分泌に影響を与えます。夕方以降は、外の明るさに合わせ、部屋の明かりも徐々に落とすようにしましょう。電球色は、暖色系がおすすめ。夕日を見るとくつろぐ気持ちになるように、光が気持ちを切り替えてくれます」

20:00 夕食は、食べすぎずバランス良く
「夕食は、就寝まで3時間以上空けるのが理想です。食べてすぐに寝ると、胃腸の働きが活発なままで、体の内部の温度『深部体温』が下がりにくくなってしまいます。眠るまでに消化する時間をとれるよう、食べる量も控えめに。
タンパク質や食物繊維を含む食材に、適量の炭水化物を組み合わせるといいでしょう。遅い時間の夕食になる日は、量をさらに少なめにしてください」

22:00 入浴で体を温める
「入浴は、眠る1〜2時間前がおすすめです。私たちの体は、『深部体温』が夕方にピークを迎え、その後下がっていくことで自然に眠気が生じます。入浴で一度体温を上げておくと、その後の下げ幅が大きくなり、眠りに入りやすくなるのです。
炭酸系の入浴剤などを使うと、体を芯からあたためられます。湯船に浸かるのが理想ですが、シャワーの日は、浴槽にくるぶしが浸かるくらいのお湯を張り、足湯をしながら浴びるのもいいですよ」

22:30 マッサージやストレッチで体をほぐす
「入浴後は、軽いストレッチや、気になるところをやさしくマッサージするのもおすすめです。筋肉の緊張がほぐれると、血の巡りが良くなり、深部体温も下がりやすくなります。マッサージは、お風呂の中でしても◎」

23:00 お茶や香りで、くつろぐ時間を
「眠るまでの1時間は、好きな音楽を聴いたり、香りを楽しんだりしながら、ゆったりと過ごしましょう。ノンカフェインのお茶やハーブティーなど、あたたかい飲み物でほっとするのも良いですね」

「アロマを焚くなら、ラベンダーやオレンジなどの柑橘系、森林系など、自分がリラックスできる香りを選んでみてください。枕や寝具に使えるスプレーを取り入れる方法もあります」

23:30 スマートフォンを手放す
「就寝の30分前には、スマートフォンの画面を見続けたり、情報を追いかけたりするのをやめ、落ち着いて過ごしましょう。寝床に持ち込まないことを習慣にしたいものです。決めてしまうと、意外と手放せるものですよ」

24:00 明かりを消して、おやすみなさい
「眠るときは、寝室の明かりをすべて消しましょう。暗い環境にすることで、メラトニンが分泌されやすくなります」

肌に触れるものから寝室まで、睡眠環境を整える
心と体を整え、眠る準備ができたら、パジャマや寝具、寝室の環境にも目を向けてみましょう。快眠のために意識したいポイントを三橋さんに伺いました。
パジャマとインナーは、自然素材を
「スウェットやTシャツなど、部屋着のまま眠るより、パジャマに着替えることで、『これから眠る』という気持ちの切り替えになります。素材は、吸湿性があり、適度に通気性のある自然素材がおすすめ」

「肌に触れるインナーは、汗を吸い、湿気を逃がす性質もあるシルクや、手入れのしやすい綿を選ぶのが良いと思います。寒くなったら起毛した素材や厚手のもの、冷えやすい首元を防寒できるハイネックなど、季節に合わせて素材やデザインを調整しましょう」

枕は、寝姿勢と寝返りのしやすさで選ぶ
「枕は、立っているときの自然な姿勢を保てるものを選びましょう。仰向けでは首の後ろの隙間を支え、横向きでは肩の厚みに合う高さが必要です。どちらの姿勢でも首や肩に無理がなく、寝返りがしやすいか、実際に試してみてください。
合う高さは体格によって違うので、中のシートや詰め物で調節できるものもおすすめです。素材は、自分が気持ち良いと感じるものを選びましょう」

掛け布団は、組み合わせて調節
「秋は、寝入りにはちょうど良くても、夜中や明け方に冷え込むことがあります。掛け布団は2枚ほど用意して、気温に合わせて組み合わせを変えられるようにしておくと安心です。手の届くところに置いておくと、寒くなったときにすぐ掛けられて快適に過ごせますよ」
寝室は、季節に合わせて快適な温度と湿度に
「この時期快適な室温は、20〜25℃ほど。湿度は40〜60%が目安です。暑い、寒いという感覚や、その日の気温に合わせて調節し、乾燥が気になるときには加湿器などを活用しましょう」

自分に合った快眠習慣で、より良い日々を
こうしたナイトルーティンや環境づくりは、「どれが効くかというより、自分が好きかどうかを、試しながら探してほしい」と、三橋さん。
「全部やろうとせず、まずは気持ちが良いと思うものを一つ、取り入れてみてください。睡眠を整えるのは、日々をより良く過ごすため。しっかり眠ると、こんなに気持ちが良いんだという感覚を、味わっていただけたらうれしいですね」
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