レビュー
スプーンの中に広がる北海道の味覚。3種類のスープカレー

2026/09/02
日本に住み始めて20年。イタリア料理も、日本のグルメもこよなく愛するマッシさんに、リニューアルした3種類の「スープカレー」を試してもらいました。
(文・写真/マッシミリアーノ スガイ)
エッセイスト。1983年イタリア北部ピエモンテ州生まれ。2007年に日本に移住し、日伊通訳者の経験を経てからフードとライフスタイルライターとして活動。
日本食文化の面白さや魅力、グルメの紹介などの記事とエッセイを年間約400本執筆。
著書に『イタリア紳士、うまいと叫ぶ』(亜紀書房)などがある。
夕暮れが少しずつ早くなり、買い出しの帰り道に吹く涼やかな風や虫の声に季節の移ろいを感じるようになると、台所に立つ気分も少し変わってくる。
仕事に追われた平日の夜や、何を食べるか考えるのも億劫な休日の昼下がり。「手軽に済ませたいけれど、味気ない食事で済ませたくはない」というささやかなわがままが頭をもたげる。
そんな日々の救世主としてストック棚に忍ばせておきたいのが、無印良品の「スープカレー」だ。

レトルトパウチをあたため、少し深さのあるお気に入りの器に注ぎ入れる。
驚くのはその「具材の存在感」だ。スプーンを入れる前から、ゴロゴロとした具材が顔をのぞかせる。
炊飯器に残ったご飯をお皿に盛り、スープにさっと浸して口へ運ぶだけで、いつもの食卓が一瞬にしてスープカレー専門店のカウンターへと様変わりする。

リニューアルしたスープカレーは3種類。それぞれに、食べたくなるシーンが浮かんできた。
まずは、残業を終え、疲れて帰宅した夜、迷わず手に取りたいのが『真昆布だしとトマトのスープカレー(3辛)』だ。
器に注ぐと、澄んだトマトの赤みの中に大ぶりの豚ばら肉、じゃがいも、人参、そして新たにお目見えしたゆで卵が堂々と浮かぶ。
スプーンですくって味わえば、真昆布だしの力強いコクが広がり、すぐにトマトのフレッシュな酸味と甘みが追いかけてくる。クミンやシナモン、クローブのスパイス感の中に、隠し味のトマト酢が絶妙なキレを生んでおり、疲れた体にすっと染み渡るようだ。
ゆで卵の黄身を少しくずし、酸味の効いたスープと絡めながら豚肉を頬張る。
ご飯を浸すたびにお米の甘みとだしの旨みが重なり合い、重たくなっていた頭が心地良いスパイスの刺激ですっきりとリフレッシュされていく。

次に、少し肌寒さを感じる雨の夕方や、ゆったり過ごしたい日曜の夜には『北海道味噌と豆乳のスープカレー(2辛)』がよく似合う。
北海道産の白こし味噌に豆乳とココナッツミルクを合わせたスープは、驚くほどクリーミーでやさしい。真昆布だしをベースに、シナモンの甘い香りが味噌のまろやかさを引き立てていて、和の落ち着きと異国のスパイス感が絶妙なバランスで同居している。
チキンに加え、歯ごたえの良い大ぶりのれんこん、ぷるんとしたきくらげ、そして彩りの人参という4種の具材が、一口ごとに異なる楽しいリズムを刻む。
スプーンですくって噛みしめるたび、味噌と豆乳のぬくもりがじんわりと胃袋を満たし、張り詰めていた肩の力が自然と抜けていく。

最後に、休日のランチに少しだけ気分を華やがせたいなら、名前も新たに生まれ変わった『海老のビスクとトマトのスープカレー(2辛)』の出番だ。
湯煎したパウチを開けた瞬間、海老のエキスと香味野菜から抽出されたオイルの芳醇なアロマが部屋いっぱいに広がる。
セロリやチキンブイヨン、生クリームとトマトが溶け合ったスープは、まるで洋食屋のビスクのように濃厚でありながら、カルダモンやバジルの爽快感が後味を軽快に整えている。
ぷりっとした海老はもちろん、たけのこ、ヤングコーン、ひらたけのシャキッとした食感が心地良いアクセントになる。お気に入りの音楽を流しながら、硬めに炊いたご飯を浸してゆっくりと味わえば、自宅にいながらちょっとした外食気分が味わえる。
この秋、スプーンの中から広がる北海道の味覚を、日常の食事で楽しんでほしい。
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