ゆらぎに寄り添う。養生日和
漢方で解説。春の緊張、イライラ、眼精疲労をケアする養生法

2026/03/27
取材と文・高浦彩加 撮影・藤井由依
良品計画 食品部商品開発 お茶担当。総合商社に新卒入社し、過労とストレスで身体を壊したのを機に漢方と出合い、漢方を学ぶために薬学部に再入学。生薬研究室で薬草を栽培しながら研究に励み、漢方や薬草をもっと世の中に広めたいという思いから、現職に至る。
自然のリズムとひとの体をつなぐ『五行』
漢方では、自然界の変化と人の心身の変化は連動していると考え、そのベースにあるのが、『五行説』です。

これは、季節や天気、方角、色、人間の体といった、自然界のあらゆるものは『木』『火』『土』『金』『水』(もっかどごんすい)の5つの要素から成るという考え方で、漢方の養生法と密接に関わっています。
「五行説に基づき、体の機能(=五臓)や部位、感情、五感、味覚などを分類したのが『五行色体表』で、各季節に起こりやすい不調を理解し、養生法を考えるのに役立ちます」と織田さん。

「たとえば、春に対応する五臓は『肝』。これは肝臓そのものではなく、肝臓を含め、血を貯蔵し、全身へ巡らせる働きのことを指し、春は『肝』に負担がかかりやすい季節と考えます。
ほかにも気候は『風』の影響を受けやすく、感情的にはイライラしやすい(=『怒』)。器官は『筋』、色は『青』、部位は『目』が対応することから、身体的には、筋肉がこわばり、目が疲れやすかったり、顔色が青白くなりやすいと読み解くことができます。
全体的な心身の状態としてはストレスが溜まり、体が緊張して巡りが悪くなりやすい季節といえます」
春の『肝』を守る過ごし方
こわばりやすく、溜め込みやすい。そんな春を快適に過ごすにはどうしたらいいのか。そのヒントは『五行説』の基本に立ち返ると見えてきます。
「春は『五行説』のうち、成長や伸びやかさといった性質を持つ『木』に該当し、すくすく育つ木のように、のびのびと過ごすことが『肝』の健やかさを保つには大切です。
新しいことをはじめたくなる季節ですが、頑張りすぎたり、力を入れすぎたり、無理を重ねたりすると、『肝』に大きな負担がかかります。
ゆっくり食事を味わう。食後や就寝前にほっとひと息つける時間をつくる。予定を詰め込みすぎないなど、日常の中に余白をつくることを心がけてみてください」

また、お酒の飲みすぎにも注意が必要。
「解毒や代謝を担う肝臓のエネルギーがアルコールの代謝で多く使われてしまうため、全身の巡りに影響します。
ただでさえ、巡りを担う『肝』が疲れやすい春は、量を控えめにする、休肝日を設けるなど、負担をかけすぎない工夫を取り入れましょう」
『酸味』で巡りをサポート
『五行色体表』は、食養生を考えるのにも役立ちます。
「春と同じく『木』に該当する味覚は『酸』。酸味には収れん作用があり、組織や血管を引き締め、『肝』の働きを助けると考えられています。
お酢を使った料理や酸味のある果物、梅干しを食事にとり入れたり、お酢を使ったドリンク、梅のお菓子を間食としてとり入れるのも良いですね」

とにかく、無理せずのびのびと。新しい生活が始まる春こそ、力まず、自分のペースで過ごすことを大切にしてみてください。
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