ゆらぎに寄り添う。養生日和
UVケアや肌着選びの工夫を。神経質になりやすい春の過ごし方のコツ

2026/03/27
取材と文・山本加奈 撮影・藤井由依
「ユークロニア株式会社」代表。国立病院機構にて高次脳機能障がいや神経難病のリハビリテーションに従事。現在は、東京の「ベスリクリニック」で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行い、メディア監修も多数。主な著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』(文響社)、『多忙感』(サンマーク出版)など。
予測する臓器=脳とうまく付き合う
4月からの新生活も目前。この季節、多くの人が感じやすいのが、理由のないイライラや触覚過敏です。
「これらの不調は、脳の仕組みを理解することで説明できます」そう話すのは、菅原洋平さん。
「感情や気分を生み出す脳はこれまで、外側からの刺激に“反応する臓器”と考えられていたのですが、最近の神経科学では“予測する臓器”と捉えられています。
脳は過去の経験をもとに『こうなるはず』と予測を立て、実際に起きたことと予測の"誤差”から学習し、予想外の事態を極力減らすようにアップデートしていきます」
ところが、新生活のような先行きが見えにくい状況では、脳の予測が追いつかなくなり、誤差が大きくなってしまう。特に春は気候も不安定で、社会活動含め、外部環境の変化が非常に激しいため、最も予測が立ちにくい季節。
「生物にとって不確実性は生存の脅威として認識され、交感神経優位の過覚醒モードに入り、心拍数や血圧の上昇で、イライラしやすい状態に。つまり、予測が立ちにくい環境ほど、人の感情は不安定になりやすいんですよ」
春に触覚過敏が増えるメカニズム
もちろん、この防御反応もやみくもに反射的に起きているわけではなく、理にかなった理由が。
「過覚醒モードでは、視覚・聴覚・触覚など五感の感度が高まり、感覚が敏感になります。これは、周囲の変化を素早く察知し、予測精度を高めることで見通しの立ちにくい状況に対して、どうにか適応している状態といえます」
では、なぜ五感の中でも触覚過敏の方が多くみられるのでしょうか。

「視覚や聴覚は目を閉じたり、耳を塞いだりして刺激をある程度遮断することができます。しかし、触覚は常に外界に開かれていて、自分の肌に接触するあらゆるものから刺激を受け続け、不快感が増幅されていく。
その結果、起きてくるのが触覚過敏。実際、相談を受けていても、春は衣服の素材やタグなどが普段以上に気になる方が多いと感じます」
イライラも触覚過敏も、季節特有の外部環境変化に、脳がどうにか適応しようした結果の反応なのです。
安心と定番を大切に。世間の動きから少し距離を置いてみる
変化の多い春を快適に乗り切るには、脳が安心できる“定番のライフスタイル”を意識するのがポイント。
春は「新生活」「新しい挑戦」という言葉があふれ、行動を促す空気に満ちていますが、すべてに反応し続けると脳は疲弊し、予測不能な状態に追い込まれてしまいます。
「私はよく自分のクライアントさんには『世の中が動こうとしている時に動かず、世の中が一定にまわりだしてから、動き出してください』とアドバイスしています。タイミングをずらすことで脳は予測を立てやすくなり、落ち着きを感じられると思います」。
肌に直接触れる肌着や衣服、寝具などは安心を感じられるものを選ぶのがおすすめ。
「一般的には自然素材のものが安心を感じやすいと思います。ただ、自分になじみがあるというのが一番大切なので、自然素材に違和感を感じる場合はもちろん化学繊維のものでも良いですよ」

またこの時季、注意が必要な外部環境要因のひとつが紫外線。
「紫外線は3月ごろから急増するため、脳の予測と実際に受ける刺激との誤差が大きくなりやすいです。日焼け止めやUVカットの衣類などを活用して、早めの紫外線対策を取り入れてみてください」





